格安SIMを使うときに気になるのが、通信制限ではないでしょうか。通信制限を掛けられると最大通信速度が大幅に低下するので、ネットを快適に使うことが難しくなります。
しかし、一部の格安SIMでは通信制限時でも最大通信速度が1Mbpsとなっていて、ある程度は快適に使うことが可能です。
そのため、通信制限の緩い格安SIMを活用すれば、実質的にはネットを使い放題にすることもできるでしょう。
そこで本記事では、最大速度1Mbpsで無制限に使える格安SIMについて、料金プランや特徴など具体的な情報と合わせて詳しく解説します。
最大速度1Mbpsで無制限に使える格安SIMとは?
まずは、1Mbpsで使える格安SIMについて仕組みやメリットを探っていきましょう。
通信制限時などの低速状態が「最大速度1Mbps」の格安SIMのこと
格安SIMのほとんどには通信制限があります。通信制限は、月間の通信容量を使い切ったときや、短期間で大量の通信を行ったときに発動するものです。
通信制限の条件は事業者によって異なりますが、最大通信速度が200Kbps~300Kbpsくらいになることがほとんど。
この速度では、Youtube動画を最低画質設定にしないと見られないなど、ネットを使うのが不便になってしまいます。
しかし、最近では通信制限の条件が緩いものが増えていて、一部の格安SIMでは制限時の最大速度は1Mbps。言い換えれば、「最大速度1Mbpsで無制限に使える」ということです。
1Mbps使い放題な格安SIMがおすすめなのはどんな人?
1Mbpsで使い放題になる格安SIMを使う際は、通信制限下でも比較的快適に使える用途であることが大切です。
そのために、1Mbpsの通信速度でどのようなことができるのかについて、詳しく検討していきましょう。
LINE/ Skype | メッセージ | 〇 | Youtube | 低画質 | 〇 |
通話 | 〇 | 標準画質 | 〇 | ||
ビデオ通話 | 〇 | 高画質 | △~× | ||
〇 | テザリング | 〇 | |||
△ | オンラインゲーム | 種類による | |||
△ | データ | ダウンロード | 50MB程度 なら可能 | ||
WEB ページ | 地図/ニュース | 〇 | アップロード | ||
通販サイト | △ |
LINEやSkypeなどのメッセージアプリでは、チャットからビデオ通話まですべての用途で問題なく使えます。SNSについてはテキスト主体のTwitterは快適に使えますが、高画質な画像や動画が大量に投稿されているInstagramやFacebookは、表示に少し時間を要することがるので注意が必要です。
Youtubeの動画は低画質(144pや240p)なら問題なく視聴でき、標準画質(360pや480p)も表示に多少読み込みに時間が掛かることはあっても視聴できます。
上記の点を踏まえると、最大通信速度1Mbpsで使い放題になる格安SIMは、次のような人に向いていると言えるでしょう。
- Youtube動画はスマホ単体で視聴する人
- 動きの多いオンラインゲームはプレイしない
- 高画質の画像や動画のやりとりを行わない人
- SNSはTwitterをメインで使うことが多い人
Youtubeの動画はスマホで視聴する場合は標準画質でも十分なので、テザリングを使って大画面で見ない限りは問題ないでしょう。
ゲームもパズルゲームなど動きの少ないものをプレイすることが多い場合は、通信の遅延が問題になることは少ないので比較的快適に楽しめるはずです。
最大速度1Mbpsで使い放題の格安SIM比較
最大1Mbpsの通信速度で使い放題の格安SIMには、次の3社のものがあります。
- 楽天モバイル
- UQモバイル
- Y!mobile
それぞれの格安SIMについて、低速モード切り替えの有無や、低速モード時の短期制限、料金プランの概要などを比較していきましょう。
楽天モバイル
楽天モバイルは楽天が運営する格安SIMです。楽天モバイルの月額料金や特徴などは次の通り。
楽天モバイル | |
料金 | Rakuten UN-LIMIT V 通信容量無制限(※1) 2,980円(1年間無料) |
低速切り替え | なし |
特徴 | 1年間月額料金無料 国内通話かけ放題無料 |
(※1)ただし、楽天回線未整備地域ではパートナーのau回線となり、月間通信容量は5GB。
楽天モバイルの料金プランは「楽天アンリミットV」のみというシンプルな構成で、月額料金は2,980円です。しかも、現在はキャンペーン中で1年間の月額料金が無料に。
しかも、楽天回線が整備されている大都市圏では通信容量無制限で、1日10GB以上使った場合の短期制限時でも最大通信速度は3Mbpsです。
ただし、楽天回線の対応エリア外ではau回線となり、通信容量は5GBで超過時は通信速度が最大1Mbpsに制限されます。(楽天エリア)
低速モードの切り替えはありませんが、au回線の対応エリア内なら実質的には1Mbpsで使い放題なので、非常にコストパフォーマンスの良い格安SIMだと言えるでしょう。
楽天モバイルには契約期間の縛りや違約金もないので、コスパの良い格安SIMを使いたい人には特におすすめです。
UQモバイル
UQモバイルはUQコミュニケーションズが提供している格安SIM。月額料金や特徴などは次の通りです。
UQモバイル | |
料金 | スマホプランS(3GB):1,980円 スマホプランR(10GB):2,980円 |
低速 切り替え | 最大通信速度1Mbpsの 「節約モード」あり(※1) (短期制限あり) |
特徴 | ・UQ家族割:2回線目以降の 月額料金500円引き ・かけ放題は有料オプション |
(※1)ただし、スマホプランSの場合は通信速度が300Kbpsになります。
UQモバイルは格安SIMの中でもトップクラスに速い通信速度が最大の特徴です。しかも、契約期間の縛りや違約金もありません。
さらに、UQモバイルでは「節約モード」が標準搭載されていて、高速通信と低速通信を簡単に切り替えることができます。
節約モードをオンにすると、最大通信速度1Mbps(スマホプランSは300Kbps)で、ギガをいっさい消費せずにネットの使用が可能です。
ただし、UQモバイルでは直近3日間の通信量が6GB以上になった場合、短期制限を掛けられる可能性があります。
具体的な条件や制限時の通信速度については明記されていませんが、節約モードだからといってどんどん使いすぎるのではなく、動画の画質設定を標準画質以下にするなど、計画的に使うようにしましょう。
UQモバイルは他社と比べるとコストパフォーマンスは控えめな部類ですが、通話オプションも含めてお得に使いたい人はぜひ検討してみましょう。
Y!mobile(ワイモバイル)
ワイモバイルはソフトバンクグループの格安SIMサービスです。ワイモバイルの月額料金や特徴は次のようになっています。
Y!mobile | |
料金 | スマホベーシックプラン S(3GB):2,680円 M(10GB):3,680円 R(14GB):4,680円 |
低速 切り替え | なし |
特徴 | ・6か月間の月額料金700円引き ・通常500円の「データ増量オプ ション」が1年間無料 ・追加料金不要で1回10分以内の 国内通話が無料 ・「家族割引サービス」の適用で 2回線目以降の月額料金が 500円引き(※1) ・「おうち割光セット(A)」適用で ワイモバイルの月額料金が 1回線あたり500円引き(※1) |
(※1)「家族割引サービス」と「おうち割光セット(A)」は併用不可。
Y!mobileは、以前はデータ通信容量を使い切った場合の通信速度が128Kbpsと低速でしたが、今では1Mbpsと高速化されています。
月額料金は他社よりは高めですが、格安SIMの中でも速い通信速度や、契約期間の縛りがないことが大きな特徴。
しかも、追加料金なしで国内通話が10分かけ放題になるので、電話をよく掛ける人でも安心です。
ただしY!mobileでは、低速や高速の切り替えができず、容量を使い切ったときにしか低速状態になりません。うまく通信量をやりくりしたいという場合はUQモバイルの方が使い勝手がよさそうです。
最大速度1Mbps使い放題の格安SIMに関するQ&A
最大速度1Mbps使い放題の格安SIMにまつわる疑問の中でも、特に多いものをまとめてみました。格安SIMを検討するときの参考にしてみてください。
Q.速度1Mbps出ないことはあるの?
A.速度はあくまでベストエフォート(理論値)のため、混雑時は出ないこともある
「最大速度1Mbps」というのはベストエフォート(理論値)での速度なので、必ずしも1Mbpsで通信できるわけではありません。
ベストエフォートとは、最も理想的な環境で通信した場合に、達成できる通信速度のことです。
実際には回線の混雑状況や周囲の環境などにより、通信速度が大幅に下がることも珍しくありません。特に格安SIMの回線は昼間や夜間は特に混雑しやすいので、1Mbpsを下回ることもあり得ます。
通信量の多くなるアプリやサービスなどの使用は避ける方が良いでしょう。
高速通信と低速通信の切り替えができる場合は、動画の閲覧時などは高速通信にして、それ以外は低速通信で節約するという使い方もおすすめです。
Q.1Mbpsでは動画は見られない?
A.Youtubeの標準画質など、低くめの画質のものは見られる
1Mbpsの通信速度でも、動画の閲覧は可能です。ただし、Youtubeの場合は標準画質(480p)以下にした場合に限られます。
高画質設定でも見られないということはないかもしれませんが、動画の読み込みに時間が掛かってしまうこともあるので、実用的だとはいえません。
ただし、前述したように時間帯によっては低速通信時もさらに遅くなることがあるので、Youtubeの標準画質でもなかなか見られないことがあります。
また、動画配信アプリによっては、低画質や中画質であってもYoutubeの高画質に相当する画質のことがあるため、それぞれのアプリの通信量にも注意が必要です。
最大1Mbpsの格安SIMでは、低画質設定なら基本的には動画の閲覧はできますが、場合によっては快適に見られないこともあると考えておく方が良いでしょう。
Q.1Mbpsでもテザリングは可能?
A.1Mbpsでもテザリング対応端末なら可能
通信速度1Mbpsでも、端末がテザリングに対応している限りは、基本的にはテザリングを利用することができます。
使用中の端末でテザリングを使えるかどうかについては、取扱説明書を確認するか、格安SIMの公式サイトに掲載されている「動作確認端末一覧」などをチェックしてみてください。
ただし、テザリングに対応している端末であっても、必ずしも快適にテザリングができるわけではありません。
例えば、テザリングを使って動画を閲覧する際は、画質設定によっては画面の粗が目立つことがあります。
また、テザリング中は端末に少なからず負荷が掛かり、通信速度が若干遅くなってしまうこともあるので、高速な動作が要求される用途には向いていません。
まとめ
最大1Mbpsで無制限に使える格安SIMは、使い方によっては実質的には使い放題プランのようなものなので便利です。
ただし、データ通信が無制限だからといって、電話もかけ放題になるわけではありません。そのため、格安SIMを選ぶ際は通話オプションについても検討することが重要です。
今回紹介した3社の格安SIMのうち、楽天モバイルは無制限かけ放題、ワイモバイルは10分かけ放題が付帯します。
一方でUQモバイルではかけ放題オプションは有料ですが、任意のタイミングで低速通信に切り替えられる節約モードを利用可能です。
いずれの格安SIMを選んだ場合でも、使用する時間帯や用途によっては1Mbpsの通信速度では足りないこともあるので、必要な通信速度を慎重に検討することをおすすめします。