「光コンセント」と聞いてもそれが何かよく分からない…という人も多いでしょう。
固定回線工事をしたことがある人や、部屋にあるのを知っている人でなければ、そもそも見たことがないなんて人もいるかもしれません。
本記事では光コンセントとは何なのかについて、画像付きで丁寧に解説していきます。
特にアパートやマンションは、部屋内に光コンセントがあるかないかで、固定回線を契約する時の工事内容が随分と変わってきますので、今後引っ越しを検討している人はぜひ参考にしてください。
光コンセントとは?
NTT東日本公式HPによると、光コンセントとは「光回線と機器を接続するための差込口であり、お客さま宅内の壁面に設置されるもの」と説明されています。
この説明を聞くと、光回線を利用する人なら全員が使っているかのような表現ですが、「光回線で通信しているはずなのに、そんなの知らないよ」という人も多いはず。
光コンセントを使っていない人は、固定回線の接続機器を繋げているコンセントに「TEL」や「LAN」といった文字が表記されていないでしょうか。
実は「TEL」は電話線(モジュラージャック)、「LAN」はLANケーブルの差込口なので、これらは光コンセントではありません。
では光コンセントとは何かというと、「光」や「光SC」の文字表記があり、部屋まで光回線が届いている差込口のこと。LANケーブル等との決定的な違いは、ここにあります。
もし「光回線対応マンション」に入居したとしても、部屋に光コンセントが見当たらず、LANケーブルやモジュラージャックしか場合は、マンションの共有部分までしか光回線が引かれていない可能性が高いです。
部屋まで光回線が届いているかどうかは通信速度にも影響してきますから、光コンセントがあるのかないのかは非常に重要なポイントとなります。
では光コンセントはどのようなものかについて確認しておきましょう。
光コンセントは「一体型」と「分離型」の2種類がある
光コンセントの種類を大きく分けると、「一体型」と「分離型」があります。
(引用:NTT東日本公式「光コンセント」)
ここ数年の間に新築された戸建の光コンセントは、光回線が配管を通って設置されている「一体型タイプ」であることが多いです。
対して、少し前に建てられた戸建ては光回線を通すことを前提とした造りでなく、配管に空きがないケースもあります。
こういった場合、エアコンダクト(エアコン用の通気口)を利用したり、壁に穴を空けて引き込んだりすることで光回線を引き込み、「分離型タイプ」を設置します。
私の実家は作りが古いこともあってか、まさにこのパターンだったため、エアコンダクトから配線し、壁にも穴を空けたうえで分離型タイプの光コンセントを設置してもらいました。
光コンセントはどこに設置されている?
新築の注文住宅やマンションの場合、屋根裏や壁を使って配線がすっきりと決められており、リビング付近に設置されるケースがほとんど。
また、光コンセントの設置工事をする戸建ての場合は、ネットを利用したいメインの場所を指定し、配線との兼ね合いを考えたうえで設置場所が決定します。(工事中に業者から設置場所の相談をされることもある)
一方、賃貸アパートやマンションでは配線のしやすさから、エアコンダクトやテレビ近くの壁面に光コンセントが設置されている場合が多いです。
賃貸物件を内見する時は、一体型や分離型の光コンセントがあるのか、部屋のどこに設置されているのかを必ずか確認しておきましょう。
光コンセントがある場合のメリットは?
部屋内に光コンセントがある場合、次のようなメリットがあります。
基本的には工事不要、インターネット開通に手間が掛からない
【戸建て】
【マンション】
(引用:NTT東日本公式「工事レポート」)
前述の通り、部屋内に光コンセントがあるということはつまり、部屋内まで光コンセントが引き込まれていることを意味します。
通常、光回線工事には「光ファイバーケーブルの引き込み」「光コンセントの設置」「回線終端装置の設置」といった工程が必要となるため、工事は大掛かりになりがちです。
ただ、最初から光コンセントがあれば、必要なのは「回線終端装置の設置」くらい。しかもNTT回線で契約する場合、工事業者の要らない「無派遣工事」で済みます。(判断はNTT側がする)
無派遣工事は業者ではなく、契約者が実施するもの。
光回線契約後、1週間から10日程度で送られてくるONU(NTTの回線終端装置)を設置し、簡単な設定をするだけでネットが使えるため、開通までの手間が掛からないのはありがたいですね。
VDSLやLANによる接続よりも速い通信が可能になる
光コンセントのないマンションやアパートでよく使われている光回線の接続方式は、「VDSL」型や「LAN型」と呼ばれるタイプ。
集合住宅内にある共用部まで光回線が引いてあっても、その先は電話線やLANによって接続されているケースが多いです。(以下図参考)
【VDSL方式】
【LAN方式】
インターネット通信で一般的に使われているケーブルのうち、より速く通信できるのは光ファイバーですから、途中で電話線やLANケーブルに切り替わってしまうVDSL方式やLAN方式よりも、光コンセントタイプの通信のほうが速度が出るのは当然でしょう。
もし既にVDSL方式やLAN方式でインターネットを利用していてその速さに満足できない場合、WiFiルーターの買い替えやIPv6への切り替え、光コンセント設置工事(光回線契約)をするといった方法を取ることになります。

VDSL方式のマンションでもIPv6で通信速度は速くなる?VDSLでもプロバイダとルーター選びは肝心
光コンセントがない場合は一から工事が必要になる
光コンセントがない場合に必要な手続きは、基本的に光回線業者との契約、そして開通工事です。
戸建て工事ならそこまで大きな問題なく工事まで行き着きますが、集合住宅は越えなければならない関門がいくつもあります。その中でも特に確認や注意が必要なものを2点挙げました。
まず大家さんや管理会社に光回線を引き込む許可を取る
マンションやアパートなどで必要になるのが、光回線を個別に引き込むための許可取りです。
最近の集合住宅は、LAN方式など何かしらの光回線を利用できるようにしてあることが多く、入居者が個別に光回線契約をすることを想定していません。
共用部や配管に余裕がないとそもそも部屋内まで光回線を引き込めないことが多く、外壁工事によるビス止めや穴開けを嫌う管理会社や大家さんも多いです。
賃貸マンションやアパートは引き払う際に「原状復帰」(契約時に部屋の状態を戻すこと)を求められる可能性もあり、開通工事にも撤去にもかなりの労力が掛かります。
ちなみに、光回線で工事ができない理由を、戸建てやマンション別に解説している記事もあるので、こちらもぜひ参考にしてください。

光回線が工事できない理由を戸建て・マンション別に解説。工事できない場合の代替案も合わせて紹介
工事が始まるまで数か月待たされることもあるし、工事が長引くこともある
光回線工事には立会いが必要です。仕事の都合もあって土日しか時間が取れないなんて人も多いでしょう。
ただ、その日は他の人の希望日でもある場合が多く、なかなか予定が合わないこともざらにあります。
申し込み時期等次第では、工事が始まるまで1か月どころか半年ほど待たされるなんてことも…。
また、実際に工事を開始してから思わぬ事実が発覚して、予定よりも工事が長引く可能性があることも覚悟しておきましょう。さらに状況次第では、工事取り止め、もしくは工事の追加費用が必要になる場合があります。
あまりに工事が長引きそうなら、ポケットWiFiを繋ぎで利用することを検討してみるのも良いでしょう。
すぐに利用できる上、契約期間に縛りがなくいつでも解約できるものが色々あるので、つなぎとしてはおすすめです。

光コンセントの設置や工事は面倒…という人はホームルーターもあり
少し前までは通信するなら光回線が絶対にいいと言われていましたが、最近はホームルーターやポケットWiFiでも無制限で、速い通信ができるようになってきました。
私も実際に使ったことがありますが、映画のダウンロードや動画の再生等も問題なくできるので、固定回線代わりに使うのもありだなと思います。
特に集合住宅で、光回線契約や工事をするのが面倒でも気軽にネットを使いたいなら、契約後に送られてくる端末をコンセントに挿すだけで使えるホームルーターがおすすめです。
ホームルーター端末が無料で手に入るのはGMOやBroad、カシモ WiMAX
(引用:UQ WiMAX)
WiMAXのホームルーターは、WiMAX2+回線とauの4G LTE回線を使って通信します。
UQ WiMAXであれば「契約期間2年自動更新」「契約期間2年自動更新なし」「契約期間期間の縛りなし」の3つの契約スタイルから選べるので、とりあえず使いたいなんて人でも気軽に使いやすいです。
ただ、UQ WiMAXの場合は契約時に16,500円の端末代が必要ですが、GMO WiMAXやBroad WiMAX、カシモWiMAX等で3年契約すると、端末代は無料。
しかも月額料金が3,000~4,000円程度になるところもあり、個別に固定回線を契約するよりも500円から2,000円ほどお得に使えることも。
※1:キャッシュバックは申込月によって額が変動する
※2:工事費は目安
引っ越しの時も住所変更さえしておけば引き続き使えますし、光回線契約で引っ越し手続きをするよりも気軽で便利です。

【まとめ】光コンセントがあれば部屋まで光回線が来ている証拠
光コンセントについて、他のVDSL方式やLAN方式との違いも交えながら解説してきました。
入居するマンションに最初から光コンセントがあれば、部屋まで光回線が来ている証拠。モジュラージャックやLANの差込口しかない場合は、時間帯によって通信速度の遅さを感じるかもしれません。
ただVDSL方式やLAN方式のインターネットが既に引かれている集合住宅では、新たに光コンセントを引くにあたってなかなか許可が下りないこともあります。
かと言って、通信速度が遅いから引っ越す…というのもなかなか難しい話。まずは新しくルーターを買い替えたり、使用する周波数帯域を切り替えたりしてみると良いかもしれません。