ネットをする上で気になるのが回線の速度。
データがなかなかダウンロードできなかったり、動画の再生が途切れてイライラした、なんて経験は誰にでもあるでしょう。
しかしひとくちに「遅い」といってもその原因はさまざま。用途によって確保しておきたい速度も大きく異なります。
回線速度とは
固定回線やモバイル回線(LTE、WiMAXなど)にはそれぞれ速度の最大値があります。
回線速度の単位はbps(ビーピーエス/ビットパーセカンド)。1bpsは1秒間に1ビットのデータを伝送できることを表します。
1秒間に送ることのできるデータ量が多いほど「回線速度」が速く、少ないほど遅いということですね。
ビット(bit)
データの量を表す最小の単位。1ビットでは2進数の1桁が1か0か、つまりオンなのかオフなのかを示すことができる。通常データ量を数えるときは8桁(8ビット)を1セットにした1バイト(Byte)という単位を用いる。
ちなみに1,000bps=1Kbps、1,000Kbps=1Mbps、1,000Mbps=1GbpsとK(キロ)→M(メガ)→G(ギガ)で1000倍ずつ増えていきます。
上り速度と下り速度とは?
回線のスペックでよく見かけるのが「上り速度」と「下り速度」という言葉。
速いにこしたことがないのはわかりますが、実際どういったときに重要なのかピンとこない人も多いでしょう。
上り速度は送信、つまりデータをアップロードするときの速度です。
SNSに画像などを投稿したり、仕事でデータを送ることが多い人はこの上り速度が大きいものの方がいいでしょう。
対する下りは受信なので、データをダウンロードする際の速度ということになります。
動画を視聴したり、WEBサイトやニュース記事を見たり、音楽をダウンロードしたり、日常的にスマホやパソコンで使う機会が多く、混雑しやすいのはこの下りの回線。
そのため速さを見るときは「下りの速度」をより重要視する場合が多いです。
実際に固定回線とモバイル回線でそれぞれ速度を比較してみましょう。
上り速度 | 下り速度 | |
WiMAX(W06端末) | 75Mbps | 1.2Gbps |
4GLTE | 112~37.5Mbps | 788~612Mbps |
光回線 | 1Gbps | 1Gbps |
モバイル回線でもWiMAXの下り速度は固定回線と並ぶ速度を出せることがわかります。
速度の理論値と「ベストエフォート」とは
回線を契約する際、小さな文字で書かれていることが多いのが「ベストエフォート」という言葉です。
一見とてもいい響きですが、その意味は「速度の最大値を実現するために努力をしています」ということ。
つまり先ほどの表のような1Gbpsの速度は理論上の話で、ほとんどの場合実現不可能なのです。
そこで大事なのが速度の「理論値」ではなく「実測値」。
ただこの「実測値」は場所、時間帯、機器など通信する環境によって大きく異なります。

なるほど、だから不安定な「実測値」ではなく「理論値」でしか比較できないんですね。
実際に「理論値」と「実測値」ではどれだけ乖離があるのか調べてみました。
今回使用したのはSpeedCheckというアプリとWiMAXのポケットWiFi(W06)です。
(引用:UQWiMAX)
上り速度(Mbps) | 下り速度(Mbps) | |
理論値 | 75 | 1237 |
実測値 | 7.71 | 42.12 |
下りの実測値は理論値の約1/30、上りは約1/10程度の速度しかでていないことがわかります。
この差は通信環境を整えることで多少縮めることができますが、それでも理論値と同じだけの速度を出すことはかなり難しいでしょう。
しかし実際に1Gbpsのスピードが必要になることはほとんどありません。
通信を行うのに必要な速度については後程詳しく紹介します。
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回線速度の測定方法
自宅の固定回線や使用しているモバイル通信機器で実際にどれくらいの速度が出ているかどうか気になりますよね。
先ほどのSpeedCheckのように、通信機器の速度はアプリやサイトの測定ツールで簡単に知ることができます。
【SpeedCheck測定方法】
サイトを表示したら「テスト開始」を押しましょう。
するとまずは下りの速度を調べてくれます。
次に上り速度の測定です。
下りが42.51Mbps、上りが45.14Mbpsという結果になりました。
回線速度はルーターの位置を決めるときにより通信がスムーズな場所を見極めたり、ゲームなどをする際に必要な速度を満たしているか判断するのに使うことができます。
スマホの場合はアプリがあるので定期的に使用する場合はダウンロードすると便利です。
またこれらの測定ツールは使うアプリやサイトによって数値や得られる情報が異なります。
今回使用したSpeedCheckは20秒程度でシンプルに測定を行ってくれる上、アプリ版では動画視聴やメール、ゲームなどをどれくらい快適に行えるかも教えてくれます。
もっと細かく情報を得たい場合はほかの測定ツールも試してみましょう。
測定ツールに関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。

ネット回線速度はどれくらいあれば快適?シーン別回線速度の目安
回線速度は用途によって「これくらいあれば大丈夫」という適正値が異なります。
WEBサイトを見るだけの人と、映画などの長い動画を見る人。「通信を行う」といった点では同じでも当然必要とする速度は同じではありません。
使用シーンごとに要する速度を見ていきましょう。
- メール:128Kbps~1Mbps
- 通話:1Mbps~
- SNS、サイト閲覧:1~10Mbps
- 動画視聴:1~20Mbps
- ゲーム:10~30Mbps
- データのダウンロード、アップロード:10Mbps以上
メールやLINEの送受信をする場合|速度は気にしなくて大丈夫
メールやLINEメッセージなどのテキストは、データの中でもかなり軽い部類です。
スマホなどが通信制限になった際の速度は128Kbpsですが、これは「テキストデータが送受信できる速度」として設定されています。
そのためメールやLINEなどは回線の速度を気にせずに行って問題ありません。
メッセージを送る際にかかる所要時間を回線速度別に比較すると以下の図表のようになります。
回線速度 ↓ |
メール送受信 (1通/5KB) |
LINEメッセージ送受信 (1通/2KB) |
LINEスタンプ送受信 (1通/10KB) |
128Kbps | 0.5秒 | 0.2秒 | 1秒 |
1Mbps | 0.1秒以下 | 0.1秒以下 | 0.1秒 |
10Mbps | 0.1秒以下 | 0.1秒以下 | 0.1秒以下 |
128Kbps~1Mbps程度の速度があれば十分にメッセージのやり取りを行えることがわかりますね。
しかし画像や動画の添付はメッセージを送ることとは異なり、かなりの回線速度が必要になるため注意しましょう。
【推奨通信速度】
- メッセージ送受信:上り/下り128Kbps~
LINEなどでの通話|通話は通信制限でも可能。ビデオ通話は1Mbps以上
LINEやSkypeといったネットを使った通話も比較的軽いデータです。
LINEで通信を行ったときの所要時間は以下の通り。
回線速度 ↓ |
LINE通話 (1分300KB) |
LINEビデオ通話 (1分/5MB) |
128Kbps | 20秒 | 6分 |
1Mbps | 3秒 | 45秒 |
10Mbps | 0.2秒 | 4.5秒 |
20Mbps | 0.1秒 | 2秒 |
音声のみの通話であれば、128Mbpsの通信制限のかかった状態でも多少通信状況の悪さを感じるものの利用はできます。
ビデオ通話は最低でも上りも下りも1Mbpsの速度があるといいでしょう。
128Kbpsでも通信自体は可能ですが、映像の乱れや途切れ、音声の遅れなどの不具合がありました。
【推奨通信速度】
- LINE音声通話:上り/下り128Kbps~
- LINEビデオ通話:上り/下り500Kbps~1.5Mbps
サイトやSNSを見る場合|画像が多いと速度が必要に
WEBサイトやSNSを見る際に注意が必要なのは画像です。
128Kbpsの速度だと、テキストは先に表示させることができても画像がいつまでたっても読み込まれない状態に陥ります。
1Mbpsであっても、少し遅いなと感じてしまうほど画像はデータ量が多いのです。
回線速度 ↓ |
SNSで画像投稿/表示 (1枚/1MB) |
Instergramで写真閲覧 (1画面分/5MB) |
通販ページ閲覧 (1ページ/2MB) |
ニュースページ閲覧 (1ページ/1MB) |
128Kbps | 65秒 | 325秒 | 130秒 | 65秒 |
1Mbps | 10秒 | 50秒 | 20秒 | 10秒 |
10Mbps | 1秒 | 5秒 | 2秒 | 1秒 |
20Mbps | 0.5秒 | 2.5秒 | 1秒 | 0.5秒 |
ニュースサイトなどのテキストデータの多いページは下り1Mbps以上、SNSや通販サイトなど画像データの多いものは3~10Mbps程度を目安としましょう。
SNSの中でも特にInstergramはいっぺんに大量の高画質画像を表示させる必要があります。
実際にInstergramの画像検索を10分間使用すると、約140MB消費もしました。これだけのデータを扱うには速度もそれなりに必要だとわかりますね。
また、Instergramの動画やストーリーは10分で約70MB、インスタライブでは10分約55MBと画像を閲覧するよりデータ量が少なくなります。
動画は画像よりもデータ量が多いのが一般的ですが、Instagramは画像がメインのSNSため動画はかなり圧縮されているようです。
【推奨通信速度】
- SNS画像:投稿/上り1Mbps~、表示/下り1Mbps~
- ニュースページ閲覧(画像量少):下り1Mbps
- 通販ページ閲覧(画像量多):下り3Mbps
- Instagram画像検索:下り3Mbps~
動画を見る場合|画質を下げれば1Mbpsでも視聴可能
動画サイトはそれぞれ再生する際に、画質を調整できるところがほとんど。
低画質の動画はデータ量が少ないため、回線速度が遅くても視聴が可能です。
Youtube|標準画質なら1Mbpsから視聴可能。4K動画は20Mbpsで
Youtubeは低画質~4K画質まで動画によって画質を変更できる幅が異なります。
144p(低画質)での再生の場合はかなり画面に粗さを感じるため音楽再生の場合か速度が遅い場合の使用が望ましいでしょう。
なおスマホでの動画視聴であれば360pより上の画質の違いはあまり感じられないため、標準画質での再生が最適です。
動画のダウンロードにかかる時間は以下の通り。
回線速度 ↓ |
低画質(144p)動画 (1時間/120MB) |
標準画質(360p)動画 (1時間/324MB) |
高画質(720p)動画 (1時間/1GB) |
4K(2160p)画質動画 (1時間/7GB) |
128Kbps | 2.5時間 | 6時間 | 20時間 | 130時間 |
1Mbps | 20分 | 45分 | 2時間30分 | 18時間 |
10Mbps | 2分 | 5分 | 15分 | 1時間45分 |
20Mbps | 1分 | 2分 | 7分 | 50分 |
速度制限にかかった128Kbpsでは動画はほぼ見られない状態ですが、docomoのスマホやWiMAXのポケットWiFiの制限である1MbpsはYoutubeを標準画質で見られる速度として設定されています。
実際に視聴しても途中で途切れることなく再生できましたが、公式での推奨速度は3Mbpsです。
PCやタブレットの場合は360~720pのうち回線速度や好み、通信量に合わせて選ぶといいでしょう。1~10Mbpsあれば十分に再生が可能です。
4K画質で見る際は下り20Mbps以上の速度が必要ですが、それ以外は10Mbpsあれば快適に楽しめます。
【推奨通信速度】
- 低画質(144p)音楽再生向き:500Mbps~
- 標準画質(360p)スマホ再生向き:3Mbps~(1Mbpsでも再生可能)
- 高画質(720p)PC・タブレット向き:5Mbps~(7Mbps以上を推奨)
- 4K画質:25Mbps~
Hulu|1~10Mbpsが目安。ダウンロードも使うとさらに快適
Huluでは低画質が360pに設定されています。
そのため1Mbps~の速度であれば低画質で再生をすると問題なく視聴が可能です。
またHuluでは25本までなら動画を簡単にダウンロードしておくことができます。
速度の速いWiFi環境下でダウンロードすれば、速度制限中であっても動画を見ることができるので便利ですね。
回線速度 ↓ |
低画質(360p)動画 (1時間/210MB) |
中画質(540p)動画 (1時間/630MB) |
高画質(720p)動画 (1時間/1GB) |
最高画質(1080p)動画 (1時間/1.8GB) |
128Kbps | 6時間 | 14時間 | 20時間 | 40時間 |
1Mbps | 45分 | 1時間45分 | 2時間30分 | 5時間 |
10Mbps | 5分 | 10分 | 15分 | 30分 |
20Mbps | 2分 | 5分 | 7分 | 15分 |
Netflix|アプリとブラウザで通信量が違う点に注意
Netflixは料金ごとに視聴できる最大画質が設定されています。
ベーシック | スタンダード | プレミアム | |
料金(税込) | 月額990円 | 月額1,490円 | 月額1,980円 |
最大画質 | SD画質(480p) | HD画質(720p/1080p) | 4K(2160p) |
同時接続台数 | 1台 | 最大2台 | 最大4台 |
スマホやタブレットで視聴する場合はベーシックを、PCやテレビで視聴する場合はスタンダードを、特に高画質で視聴したい場合はプレミアムを、というように選ぶことが可能です。
また1時間当たりの通信量がアプリ版とブラウザ版で異なる点も注意しましょう。
回線速度 ↓ |
低画質動画 (1時間/250MB) |
中画質動画 (1時間/500MB) |
高画質動画 (1時間/1GB) |
128Kbps | 5時間 | 10時間 | 20時間 |
1Mbps | 40分 | 80分 | 2時間40分 |
10Mbps | 4分 | 8分 | 16分 |
20Mbps | 2分 | 4分 | 8分 |
【推奨通信速度】
- 低画質:3Mbps~(1Mbpsでも再生可能)
- 中画質:3Mbps~
- 高画質:5Mbps~
回線速度 ↓ |
低画質動画 (1時間/333MB) |
中画質動画 (1時間/700MB) |
高画質動画 (1時間/3GB) |
最高画質動画 (1時間/7GB) |
128Kbps | 7時間 | 15時間 | 68時間 | 130時間 |
1Mbps | 50分 | 2時間 | 8時間 | 18時間 |
10Mbps | 5分 | 12分 | 50分 | 1時間45分 |
20Mbps | 3分 | 6分 | 25分 | 50分 |
【推奨通信速度】
- 低画質:3Mbps~(1Mbpsでも再生可能)
- 中画質:3Mbps~
- 高画質:10Mbps~
- 最高(4K)画質:25Mbps~
ゲームをする場合|FPSは30Mbps以上あると安心 ただしPing値にも注意
ゲームは主に小さなデータを何度もやりとりするため、高画質動画のように回線速度がいっぺんに必要になることはあまりありません。
RPGなどのオンラインゲームや、スマホのアプリゲームは種類にもよりますが1~10Mbpsあれば十分といっていいでしょう。
しかしゲームの中でもFPSのように通信の速さを特に重視するものは下り30Mbps以上必要になるケースもあります。
さらにこういった「反応の速さ」が必要なゲームの場合、回線速度だけでなく「Ping値」と呼ばれる「回線のタイムラグ」の数値も大切です。
回線速度を調べる際は同時にPing値も図ることのできるツールを使用しましょう。
Ping値の目安についてはこちらの記事も参考にしてください。

ただしオンラインゲームの中にはアップデートが頻繁にあるものもあります。
アップデートは大量のデータをダウンロードする必要があるため、より速度が重要視されるため気を付けましょう。
データをダウンロード、アップロードする場合
データを送受信する際の回線速度は速ければ速いほど恩恵を受けられます。
だいたい10Mbpsで500MB程度を基準に考えると快適に通信できるでしょう。
30MB程度のアプリをダウンロードする場合、10Mbpsもあればサクッと終わりますが、それが1GBのデータになると15分もかかってしまいます。
動画などは視聴している間に先のシーンをダウンロードしてくれているため不都合を感じませんが、データの送受信の場合は単純な待ち時間です。
もちろん時間をかければ伝送することは可能ですが、送受信に時間がかかりすぎると途中でデータが喪失する「パケットロス」になる可能性も高まります。
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回線速度が遅いときの対処法
速度が遅いなと感じた時や、速度を測定した結果目安の速さに届かなかった場合は回線速度を速くする手段を講じてみましょう。
無線から有線LANに切り替える
固定回線やポケットWiFiから通信を行う場合、ルーターと通信機器は無線よりも有線でつないだ方が速くて安定します。
実際にポケットWiFiをWiFi接続した場合と有線接続した場合で比較してみましょう。
有線接続の可能なWiMAXのW05で実際に計測してみました。
(引用:UQWiMAX)
W05WiFi接続時 下り速度/上り速度 |
W05有線接続 下り速度/上り速度 |
|
実測値 | 50.15Mbps/2.87Mbps | 71.36Mbps/3.40Mbps |
上り速度、下り速度ともに向上していることがわかります。
WiFiの環境が思わしくない場合や、自宅で使用する際などは有線での接続に切り替えると効果的です。
ちなみにポケットWiFiを有線で接続する場合には、LANケーブルの他にクレードルが必要となります。
ポケットWiFiの有線接続、クレードルについてはこちらの記事も参考にしてください。

また、すでに有線接続しているのに回線速度が遅いという場合は、つないでいるケーブルに問題があるかもしれません。
同じように見えるケーブルですが古いものを使っているとせっかく回線が高速でも、その通信が阻害されてしまうのです。
下の画像のようにLANケーブルの側面には「CAT5e」「CAT6」などの文字があります。
LANケーブルは7つのカテゴリー(CAT)に分けられていて、その数字が大きいほど速い速度での通信が可能です。
CAT5 | CAT5e | CAT6 | CAT6A | CAT7 | CAT8 | |
通信速度 | 100Mbps | 1Gbps | 1Gbps | 10Gbps | 10Gbps | 40Gbps |
伝送帯域 | 100MHz | 100MHz | 250MHz | 500MHz | 600MHz | 2000MHz |
対ノイズ 性能 |
× | × | × | ○ | ◎ | ◎ |
(参考:ELECOM公式HP)
ケーブルが5や5eの場合はケーブルが原因となっていることが考えられます。
CAT6以上のケーブルに買い替えるといいでしょう。
通信する場所や時間を変える
回線が混雑していたり電波干渉を受けていたり、電波の届きにくい場所にいたりなど、時間や場所の変化が通信速度に与える影響は大きいです。
固定回線なのに遅い、通信が乱れるといった場合はルーターの位置などを少し変えるだけで改善されることもあります。
大きなデータを送る際は回線の混雑する夜間やお昼休みを避けるといった工夫も可能です。
電波と通信速度についてはこちらの記事も参考にしてください。

ルーターを最新機種にする
通信速度はルーターの性能によっても大きく差が出ます。
たとえばWiMAXのポケットWiFiであれば2015年に発売されたW01と2019年に発売されたW06の最高速度の差は約1Gbps。
いくら理論値とはいえここまで差があるとさすがに実測値にも影響します。
実際に同じ通信環境で速度を測定してみました。
W06 下り速度/上り速度 |
W01 下り速度/上り速度 |
|
理論値 | 1237Mbps/75Mbps | 220Mbps/25Mbps |
実測値 | 42.12Mbps/7.71Mbps | 13.61Mbps/2.37Mbps |
結果、W06ではW01の約3倍の速度に。
現在契約しているポケットWiFiがあるなら、ルーターのみを購入しSIMを差し替えることもできます。
その際には、ルーターに対し適切なSIMか(SIMフリーかどうか)事前に確認しておきましょう。
固定回線の場合も同様にルーターの機能やスペックを向上させることで速度を上げることができます。
特に通信機器を感知し、その方向に向けてWiFiを飛ばす「ビームフォーミング機能」や、多くの通信機器を同時接続した際の速度低下を防ぐ「MU-MIMO機能」のいついたものがおすすめです。
回線やプロバイダを変える
たとえばLTE回線を使用している場合、それを最大速度がより速いWiMAXや固定回線に替えることで、通信速度を上げることが可能です。
各社の使用している回線で比較してみましょう。
モバイル通信で一番速いのはdocomoのLTEですが最速となるpremium4Gはエリアが限定的で、ほとんどの地域では対応していません。
エリア外では938Mbpsとなってしまうことからも、速度を重視するならWiMAXを選ぶのがいいでしょう。
また、回線の他にプロバイダを変えることもできます。
「光回線」や「格安SIM」は同じ回線であっても、契約するプロバイダによって設備などが異なるため、速度が変わる場合があるのです。
どこが一番速いかは口コミを見たり、地道にひとつずつプロバイダを比較し調べるしかありません。
WiMAXの場合はプロバイダによる速度の違いがないため、調べるのが面倒という人におすすめです。
固定回線やモバイル回線についてはこちらの記事も参考にしてください。

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回線について豆知識 通信の品質を見るポイント
「回線速度」とは1秒間に伝送できるデータ量のことだというのは冒頭にお伝えしましたが、通信の品質にはそれ以外にも着目すべきポイントがあります。
Ping値/レイテンシ(Latency)|データ伝送の際の応答速度
通信には「回線速度」とは別に「応答速度」というものがあります。
それがレイテンシです。
レイテンシ(伝送遅延時間)はあるデータを要求し、それが送られてくるまでにかかった時間を表し、それをわかりやすく数値化したものがPing値です。単位はms(ミリセカンド/ミリ秒)。
Ping値が少なければ少ないほど、データのやり取りの際生じる時間が少なくて済みます。
SpeedCheckで測定した際にもきちんとPing値が表示されています。
Ping値が重要視されるのは主にオンラインゲームのうちFPSなどの「タイムラグ」が命取りになるゲームです。
こういったゲームは4K動画のようにいっぺんに大量のデータをやり取りするというよりは、「Aというキーを押して、その動きがキャラクターに反映されるまでのタイムラグがいかに少ないか」が大切になります。
そのため上りや下りの「回線速度」もさることながら「Ping値がいかに少ないか」が特に重要になるのです。
それ以外の使用だとだいたい50ms以下であればストレスなく通信を行うことができるでしょう。
PING値についてはこちらの記事も参照してください。

Jitter|データ伝送の際のズレ・揺らぎ
Jitter(ジッタ/ジッター)は連続したレイテンシの変動値を表します。
レイテンシが一定しないとデータを伝送する際にズレや揺らぎが生じ、それによって音声や映像などが乱れてしまうのです。
Jitterは「SourceForge Speed Test」で計測することができます。
Jitterの数値が小さいほど揺らぎが少なく、良い通信状態です。
計測したPing値がたまたま遅かったのか、常に遅いのかどうかはJitterの数値を見るとわかります。
Bufferbloat|データ伝送の非効率性
Bufferbloat(バッファブロート)は過剰なバッファリングにより通信が大きく遅延することを表します。
バッファリングとはバッファーと呼ばれるメモリにデータを預け通信の処理速度を調整することです。
大きなデータを伝送する際、処理速度が異なる装置間で速度の遅い機器に合わせて通信を行うと(例:プリンタとPC)全体の速度が落ちてしまうことから、一時的にデータを預かるメモリ(バッファー)が設けられています。
たとえば家族の他の誰かが大容量のデータを送信しようする際、同じ回線で通信を行おうとすると、バッファーに預けられたデータが邪魔をし通信に遅延を招きます。
この通信の遅れ、つまりいかに効率よくデータをやり取りできているかが「Bufferbloat」です。
Bufferbloatも「SourceForge Speed Test」で計測することができます。
どれくらい遅延しているかを表す数値なので、こちらも「0」に近いほど通信の質がいいと言えます。
パケットロス|通信の際のパケット消失
パケットロスは通信の際にパケット(データ)が行方不明になってしまうことを表します。
通常、データはまるごといっぺんではなく、細かく分けた状態で送信します。
しかしサーバーや回線の負荷、ルーターなどの中継装置の故障、電波干渉などがある状態で大きなデータを送ると、データの一部が途中でいなくなったり壊れたりして正常な状態で相手に届かなくなってしまうのです。
パケットロスが起こると、再度ロスしてしまった分の通信を行うことになるため、通信に時間がかかってしまうなどの問題があります。
パケットロスも「SourceForge Speed Test」で計測できます。0%であれば正常です。
結論:自分に必要な上り速度、下り速度を確保できるようにしよう
人によって必要な回線速度は異なりますが、10~20Mbpsがあればたいていの通信は可能でしょう。
- メッセージのやり取りがメイン:1Mbps
- SNSやWEBサイトを見る:1Mbps~5Mbps
- 標準画質で動画を見る、アプリゲームをする、10MB以上のデータ伝送を行う:5Mbps~10Mbps
- 高画質動画を見る、1GB以上のデータ伝送を行う:20Mbps~
データを送受信したりアプリをインストールする際は、必要な速度が出ていないとデータを壊してしまうこともあります。
不安に思ったら受信・インストールするなら下り速度を、送信するなら上り速度を計測して確認しましょう。