キャリアよりスマホの基本料金が安い格安SIM。
料金もさることながら、各事業者(=MVNO)ごとにさまざまなプランが用意されているのも格安SIMの特徴のひとつです。
今回紹介するのは、格安SIMを複数枚契約したいときに使える「シェアプラン」というサービス。
それでは格安SIMのシェアプランについて、使い方やシェアプランのあるSIMを見ていきましょう。
複数枚で容量をシェアできる格安SIMプランとは?
たとえば家族全員がスマホを持っている場合、通常であればそれぞれが使う容量に合わせてプランを選びますよね。
しかし、格安SIMの「シェアプラン」では、ひとつの主契約の容量を複数のSIMカードで共有します。
【通常プラン例】
【シェアプラン例】
(画像引用:BIGLOBEモバイル)
シェアプランのお得な使い方やメリットデメリットについてまずは見ていきましょう。
シェアプランの使い方
複数枚のSIMで通信量を共有するシェアプランは主に以下のような使い方ができます。
- プライベート用とビジネス用のスマホ2台にSIMを入れる
- 古い端末に入れてサブ機やカーナビ代わりにする
- スマホとタブレットの両方にSIMを入れる
- 家族全員でデータ量をシェアしながら通信する
【シェアSIM使用例】
(画像引用:OCNモバイルONE)
たとえば月にスマホで4GB、タブレットで2GB使用する場合、それぞれ単体でSIMを契約するよりも、6GBのプランを契約し、SIMを1枚追加して通信量を分け合った方が、通信費を抑えられることが多いです。
シェアプランのメリット・デメリット
複数枚のSIMを使う際に便利なシェアプランですが、すべての人におすすめというわけではありません。
- シェアプランのメリット
・テザリングする手間が省ける
・複数の端末で使用する場合、通信容量をまとめて管理できる
・複数プランで申し込むよりも通信費を安く済ませられる - シェアプランのデメリット
・追加SIMの維持費が必要
・名義を分けて契約することができない
・使いすぎるとすべてのSIMで通信制限に掛かる
シェアプランのメリットは複数枚のSIMを「安く」「便利に」使うことができる点。
通常プランを複数枚契約すると、それぞれに基本料金がかかりますが、シェアプランであれば基本料金が掛かるのは1枚のみで、他はSIM使用料しかかかりません。
【家族で20GB使用する場合の料金例(BIGLOBEモバイル)】
【通常プラン】
父)通話SIM12GB:3,400円
母)通話SIM1GB:1,400円
子)通話SIM6GB:2,150円
祖父)通話SIM1GB:1,400円
【合計8,350円】
【シェアプラン】
父)通話SIM20GB:5,200円
母)シェアSIM通話あり:900円
子)シェアSIM通話あり:900円
祖父)シェアSIM通話あり:900円
【合計7,900円】
ただし、契約容量や格安SIM事業者(=MVNO)によっては、かならずしもシェアプランが安いというわけではないので要注意。
たとえば例にあげたBIGLOBEモバイルでは、通常プランで2回線目以降の料金が200円引きになります。
結果通常プランの月額料金は7,750円(8,350円-200円×3)。シェアプランで契約するよりも150円だけですが安いです。
では、シェアSIMで契約する意味はないかというとそういうわけでもありません。
シェアプランは一つの大きな容量を分け合うので、先月はスマホを5GBタブレットを3GBだったのが、今月はタブレットばかり8GB使ったなどというように、データ使用量の振り分けに融通がききます。
つまり通常プランよりもデータ量を無駄なく使えるということですね。
しかしこれにもデメリットもあり、家族で使う場合だれかひとりが使いすぎると全員が通信制限になります。
- 【シェアプランがおすすめの人】
- 月に使う容量が端末によって変動する人
- 家族割などの割引がない格安SIMで契約する人
- 通信量や通信費の管理をひとつにまとめたい人
複数枚使うからと言って必ずしもお得というわけではありませんが、上記のような使い方を想定しているのであれば、シェアプランを選ぶのがいいでしょう。
複数枚シェアできる格安SIM料金プラン比較
シェアプランがある格安SIMは以下の通りです。
SIM追加月額料金 | 初回 手数料 | 追加可能 枚数 | ||
通話SIM | データSIM (SMS有無※1) | |||
OCN モバイル ONE | 月1,000円 | 有)月520円 無)月400円 | 394円/枚 | 4枚 |
IIJmio | 月700円~ 1,100円※2 | 有)月540円 無)月400円 | 395円/枚 | 2~10枚 |
LINKS MATE | 月900円 | 有)月300円 無)月180円 | 3,400円/枚 | 4枚 |
BIGLOBE モバイル | 月900円 | 有)月320円 無)月200円 | 3,394円/枚 | 4枚 |
イオン モバイル | 月700円~ 900円※3 | 有)月140円 ~月340円 無)0~200円 | 3,000円/枚 | 4枚 |
※1SMS=ショートメッセージサービス。電話番号を使って短い文章を送ることができる機能。アプリや契約の登録や認証の際に使用することが多い。
※2IIJmioは主SIMが12GB契約の場合追加枚数2枚までは月額料金700円
※3イオンモバイルは追加枚数2枚までは月額料金200円引き
初期費用はOCNモバイルONEとIIJmioが安いですが、月額料金はそれ以外のBIGLOBEモバイル、LINKSMATE、イオンモバイルの方が安くなっています。
ただし格安SIMの中には安い代わりに速度が遅く、使い物にならないものもあります。
価格差もさほどないので、単に最も安いものを選ぶのではなく、速度やサービスなども注意してみましょう。
複数枚シェアできるおすすめ格安SIM
料金、速度、サービスなどを踏まえたおすすめのシェアプランについてより詳しく紹介します。
IIJmio(みおふぉん)|docomo、auのタイプ違いのSIMでもシェアOK
IIJmioのシェアプランの特徴は以下の通り。
- 5/31までのキャンペーン中手数料が3,000円→1円
- ドコモ、au回線に対応
- 回線が異なる場合でもシェア可能
- 容量ごとに追加可能枚数、料金が異なる
- SIM追加が最大10枚まで可能
IIJmioシェアSIM利用料金 | ||||
【容量】 | SIM枚数 | 追加SIM 利用料金 | 付帯料 | |
3GB | 最大2枚 | 2枚目 400円 | 1枚ごと 音声通話機能 +700円 SMS機能 +140円※ | |
6GB | 最大2枚 | 2枚目 400円 | ||
12GB | 最大10枚 | 4枚目以降 400円 | ||
初期費用 | ||||
SIM追加 手数料 | 3,000円 →1円/枚 | |||
SIM発行 手数料 | 394円/枚 |
※タイプA(au回線)の場合SMSの追加料金なし
12GBプランでは2~3枚目は追加SIM利用料金は無料です。
ただし、それぞれに電話番号が必要な場合は、1枚ずつ付帯料がかかるので注意しましょう。
IIJmioは初期費用の安さも魅力的ですが、一番の特徴は回線が異なる場合でもデータ量をシェアできること。
(引用:IIJmio公式サイト)
特に端末にSIMロック(キャリアによって指定の回線しか使えない状態にするロック)がかかっている場合や、通信障害に備えて2回線確保したい場合などは回線を分けられるIIJmioが最適ですね。
主SIMの料金プランは以下の通り。
IIJmio通常プラン月額料金 | |||||
【容量】 | 音声通話 SIM | SMSつき SIM | データ通信 SIM | ||
タイプD/A | タイプD | タイプA | タイプD | ||
【3GB】 | 1,600円 | 1,040円 | 900円 | 900円 | |
【6GB】 | 2,220円 | 1,660円 | 1,520円 | 1,520円 | |
【12GB】 ※ | 1,980円 (3,260円) | 1,420円 (2,700円) | 1,280円 (2,560円) | 1,280円 (2,560円) |
※キャンペーン価格。7カ月目以降は()内通常価格に。
12GBのプランはキャンペーン期間中で6カ月間かなりお得に使うことができます。
さらに12GBで足りない場合は大容量オプションを追加することも可能です。
大容量オプション | ||
月額 | 利用期間 | |
20GB | 3,100円 | 最低利用期間 利用開始月の翌月末日 |
30GB | 5,000円 |
OCNモバイルONE|SIM追加手数料3,000円が無料。口座振替も可能
OCNモバイルONEのシェアプランの特徴は以下の通り。
- 手数料が3,000円→無料
- ドコモ回線に対応
- 口座振替が可能
- SIM追加が最大4枚まで可能
シェアSIM追加料金 | ||||
【容量】 | 音声通話 SIM | SMSつき SIM | データ通信 SIM | |
月額料金 | 1,000円 | 520円 | 400円 | |
SIM追加 手数料 | 3,000円 →無料 | 1,800円 →無料 | ||
SIM発行 手数料 | 394円 |
OCNモバイルONEでは、シェアプランでSIMカードを追加する際にかかる、追加手数料の無料キャンペーンを実施中(終了未定)。
それにより別々にSIMを契約するよりも、初期費用も基本料金も安く複数枚のSIMを持つことができます。
ただし追加したSIMの月額料金は他のSIMより若干高めです。
主SIMの料金は以下の通り。
【新コース】OCNモバイルONE月額料金 | ||||
【容量】 | 音声通話 SIM | SMSつき SIM | データ通信 SIM | |
【1GB】 | 1,180円 | ー | ー | |
【3GB】 | 1,480円 | 1,000円 | 880円 | |
【6GB】 | 1,980円 | 1,500円 | 1,380円 | |
【10GB】 | 2,880円 | 2,400円 | 2,280円 | |
【20GB】 | 4,400円 | 3,920円 | 3,800円 | |
【30GB】 | 5,980円 | 5,500円 | 5,380円 | |
全プラン | 初月無料 |
ちなみにOCNモバイルONEにはSpotifyなどの音楽サービスの通信量を消費しないカウントフリーオプションを無料で登録できます。
音楽をよく聞くという人にはおすすめです。
BIGLOBEモバイル
BIGLOBEモバイルのシェアプランの特徴は以下の通り。
- 追加料金が安い
- ドコモ、au回線に対応
- SIM追加が最大4枚まで可能
- 契約を分ける場合は複数枚割引(200円/枚)が適用可能
シェアSIM追加料金 | ||||
【容量】 | 音声通話 SIM | SMSつき SIM | データ通信 SIM | |
月額料金 | 900円 | 320円 | 200円 | |
SIM追加 手数料 | 3,000円 | |||
SIM発行 手数料 | 394円 |
BIGLOBEモバイルは、上2つのSIMのように手数料割引がないため、初期費用が高くなる点がデメリット。
一方、月額料金は安いため、長く使うとお得になります。
ただしメリットデメリットの項目でも紹介した通り、BIGLOBEモバイルは複数回線契約で1回線ごとに200円の割引が受けられるため、契約する容量やSIMの種類によっては必ずしもシェアプランが安いとは限りません。
使い方に合わせて、複数契約をするかシェアプランにするか考えましょう。
主SIMの料金は以下の通り。
BIGLOBEモバイル通常プラン月額料金 | ||||
【容量】 | 音声通話 SIM | SMSつき SIM | データ通信 SIM | |
タイプD/A | タイプD/A | タイプD | ||
【1GB】 | 1,400円 | ー | ー | |
【3GB】 | 1,600円 | 1,020円 | 900円 | |
【6GB】 | 2,150円 | 1,570円 | 1,450円 | |
【12GB】 | 3,400円 | 2,820円 | 2,700円 | |
【20GB】 | 5,200円 | 4,620円 | 4,500円 | |
【30GB】 | 7,450円 | 6,870円 | 6,750円 | |
全プラン | 初月無料 |
ちなみにBIGLOBEモバイルにはYoutubeなどの動画サービスの通信量を消費しないカウントフリーオプションが月480円から利用できます。
動画をたくさん見るという人にはぴったりですね。
mineoはシェアプランはないけれどデータ通信量を分け合うことが可能
シェアプランはないけれど、家族などに余ったデータを分けることのできる格安SIMもあります。
データ容量のシェアは家族会員や同一契約者内など、限られた人との間で容量をやりとりできるのが一般的ですが、mineoの「パケットプレゼント」はmineoユーザーであれば誰にでも余った容量をプレゼントすることが可能です。
そのため、友人同士で「今月余りそうだからあげるよ」だとか、コミュニティサービスである「マイネ王」で仲良くなった人に渡すといったこともできます。
【結論】複数枚のSIMの容量を一括で管理したい時はシェアプランのあるSIMがおすすめ
複数枚のSIMを契約する場合、一人で複数端末を使ったり、家族の中にほとんどスマホを使わない人がいる場合は、一つの容量を一括で管理した方が基本料金が安く便利です。
ただし、シェアプラン以上に安くなる割引があったり、共有する容量を使い切ると全てのSIMに速度制限がかかるため、メリットデメリットをよく確認して、別々に契約するべきかどうか考えましょう。
- シェアプランのメリット
・テザリングする手間が省ける
・複数の端末で使用する場合、通信容量をまとめて管理できる
・複数プランで申し込むよりも通信費を安く済ませられる - シェアプランのデメリット
・追加SIMの維持費が必要
・名義を分けて契約することができない
・使いすぎるとすべてのSIMで通信制限に掛かる
また格安SIMでは、20GB以上のプランはキャリアとさほどかわりないほどの料金になってしまいます。
もし大容量で通信する場合は、シェアプランの契約容量を増やすよりも、ポケットWiFiや大容量データSIMを使うのがおすすめです。
