月々の出費で気になるもののひとつが通信費。光回線と格安SIMを契約していると、それだけで家計の大きな負担になってしまうことがあります。
しかし、格安SIMは大手キャリアと違って、光回線とセットで契約したところで、大きな割引を受けることができません。
一方で、格安SIMは元々の月額料金が大手キャリアと比べると安いので、通信費をトータルで考えてみると意外とお得なことは多いです。
本記事では、格安SIMと光回線とのセット割について様々な観点から検証したうえで、おすすめなものを紹介します。
格安SIMと光回線でセット割のあるサービスってある?
「セット割」とは、携帯(スマホ・ガラケー)と光回線のセット割引を適用することで、携帯の月額料金が一定額安くなる制度のことです。
ドコモとドコモ光のように、大手キャリアのスマホと光回線の組み合わせをイメージすることが多いですが、実は格安SIMでも、光回線とのセット割を適用してもらえる場合があります。
ただ、割引額は大手キャリアと比べるとかなり少ないので、お得感という点ではどうしても見劣りしてしまうのが難点です。
まずは、格安SIMと光回線のセット割について、基本的な部分を見ていきましょう。
割引額は少ないが格安SIMと光回線のセット割のあるサービスはある
大手キャリアのNTTドコモ・au・ソフトバンク3社は、いずれも光回線とのセット割引サービスが提供されています。しかも、割引を受けることができる光回線も多いです。
一方で、格安SIM光回線とセット契約で安くなる格安SIMは限られています。
格安SIM | 光回線 | 割引額 |
ワイモバイル | ソフト バンク光 ![]() |
550円 ~1,188円 (最大10回線) |
OCN モバイル ONE |
OCN光![]() |
220円 (最大5回線) |
IIJmio | IIJmioひかり | 660円 (1回線のみ) |
DTI SIM | DTI光 | 165円 (1回線のみ) |
BIGLOBE モバイル |
ビッグローブ光![]() |
最大330円 (1回線のみ) |
UQモバイル | enひかり | 110円 (1回線のみ) |
割引額はおおむね500円以下のところが多いので、お得感という点ではそれほど魅力がないかもしれません。
ちなみに、eo光とmineoはどちらもオプテージが運営していますが、セット割引は廃止されているため現在は利用不可能です。
該当する格安SIMを契約している場合は、割引のある光回線を選べばスマホ代が安くなるので、検討してみると良いでしょう。
割引額が多いのはドコモやau、ソフトバンクなどのキャリアに限られる
月額550円~1,100円の割引を受けられるのは、ドコモやau、ソフトバンクなどの大手キャリアと光回線のセット割引がほとんどです。
ただ、スマホと光回線を合わせた料金で考えると、格安SIMの割引額が少なくてもデメリットに感じることはありません。
格安SIMと光回線をセット割で使った時の費用と、キャリアと光回線にセット割と適用した場合の費用を比較してみましょう。
組み合わせ | ドコモ (ギガホプレミア) |
ソフト バンク (メリハリ無制限) |
IIJmio モバイル |
ドコモ光 | ソフト バンク光 |
IIJmio ひかり |
|
スマホ 料金 |
7,018円 | 7,480円 | 3,260円 (※1) |
光回線 料金 |
5,720円 (※2) |
5,720円 (※3) |
5,456円 (※4) |
セット割なし 合計金額 |
13,585円 | 13,948円 | 9,042円 |
スマホ セット割引額 |
1,100円 | 1,100円 | 6600円 |
セット割有 合計金額 |
12,485円 | 12,848円 | 8,382円 |
(※1)ファミリーシェアプラン(12GB)音声SIMの場合
(※2)戸建てタイプAで2年定期契約ありの場合の月額基本料金
(※3)戸建てタイプで2年自動更新プランの場合の月額基本料金
(※4)戸建てタイプの場合の月額基本料金
キャリア回線は、セットで割引適用しても、月額料金は10,000円を上回ります。
一方で格安SIMはデータ通信容量は少なめですが、キャリアより毎月4,000円以上も安いです。
キャリアスマホと格安SIMでは、データ通信容量が大きく異なるので単純な比較はできませんが、それでも月額料金の差は圧倒的ですね。
この場合、1年間で50,000円くらいの通信費を節約できることになります。
したがって、外出先での通信量があまり多くなく、通信費をできるだけ安く抑えたいという人は、格安SIMと光回線の方がお得です。
割引額が少なくても格安SIMと光回線のセット割を使うメリット
スマホとのセット割引では、キャリアと比べると割引額は少なめです。しかし、格安SIMと光回線のセット割を契約することには、次の2つの大きなメリットがあります。
- キャリアと比べて格安SIMの料金が安い
- 家族割がない格安SIMでもセット割で安くなる
それぞれのポイントについて確認していきましょう。
そもそもキャリアに比べて格安SIM自体の料金が安い
キャリアの月額料金は元々かなり高いため、たとえ光回線でのセット割で1,100円安くなったとしても、格安SIMの料金には遠く及びません。
大手キャリアでは様々な割引を駆使してやっと4,000円~5,000円ということがほとんどですが、格安SIMでは割引なしでも2,000円~3,000円です。
そう考えるとやはり格安SIMは、大手キャリアよりコスパがいいです。
家族割のない格安SIMでもセット割を使うことで割引を受けられる
大手キャリアでは、家族がまとめて契約することで、全員分の月額料金が安くなるという「家族割」が提供されています。
例えば、NTTドコモの「みんなドコモ割」では、「ファミリー割引」のグループ内で条件を満たした回線数によって割引を受けることが可能。
2回線の場合は550円、3回線以上なら1,100円の割引を受けることができるので、家族4人で契約した場合は毎月4,400円もお得になります。
一方で、格安SIMにはこういった家族割サービスが提供されていないものも多く、家族そろって契約するメリットは一見なさそうです。
しかし、家族でまとめて契約するとお得になるサービスを展開している格安SIMもあります。
例えば、OCNモバイルONEの「容量シェア」では、契約している通信容量を家族内で最大5人まで共有することが可能。
例えば、20GBコースを家族4人でスマホとタブレット端末を合計5台利用する場合、容量シェアを活用すれば毎月550円節約できます。
さらに、光回線をOCN光にしている場合はセット割引で1回線220円安くなるので、合計で1,650円節約できるというわけです。
このように、格安SIMでもお得な割引制度が提供されている場合もあるので、契約時は使える割引がないかよく確認するようにしましょう。
格安SIMと光回線のセット割を使う時の注意点
格安SIMと光回線のセット割引を利用する場合は、次の2つの点に注意する必要があります。
- 適用できる回線が1つに限られている場合がある
- 割引を適用するために申し込みやエントリーが必要
それぞれの重要なポイントについて、詳しく見ていきましょう。
セット割を受けられる回線が1つに限られている場合がある
ドコモやau、ソフトバンクといった大手キャリアでは、光回線とのセット割引を10~20回線まで適用できます。
しかし格安SIMでは、セット割引を受けられるスマホの回線が、1つに限られている場合もあるので注意が必要です。
例えば、BIGLOBEモバイルはビッグローブ光とのセット割引の対象ですが、適用できるのは1回線のみ。
割引額のトータルだけで考えるとキャリアの方が多いので、格安SIMでは物足りないかもしれません。
とはいえ、OCNモバイルONEでは最大で月額1,100円まで割引を適用できるので、いくつの回線まで割引ができるかを事前に確かめておくと無難です。
割引には申し込みやエントリーが必要!手続きをお忘れなく
格安SIMと光回線のセット割引を適用するためには、事前の申し込みやエントリーが必要になります。
対象となるサービスを契約しているからといって、必ずしも自動的に割引を適用してくれるわけではないので注意が必要です。
例えば、OCNモバイルONEのセット割引を受ける場合は、OCNモバイルONEとOCN光の「お客さま番号」を入力したうえで、セット割引の申し込み手続きを行う必要があります。
ただ、IIjmioひかりとIIjmioのように申し込み手続きが不要なものもあるので、セット割引を受ける際は必ず公式サイト等で確認しておくようにしましょう。
セット割を使うよりも安く利用できる光回線がある場合も
たとえばOCN光とSo-net光プラスで料金比較をしてみましょう(戸建タイプの場合)。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 3年総額 | |
OCN光![]() |
5,210円/月 | 5,210円/月 | 5,210円/月 | 201,960円 |
So-net光 プラス |
3,828円/月 | 3,828円/月 | 6,138円/月 | 165,528円 |
So-net光プラスは3年目で料金が高くなるものの、3年契約満了時で解約するとOCN光を利用した場合よりも3万円以上安くなります。
OCNとOCNモバイルONEのセット割は1台につき220円ですから、最大適用台数である5台分のセット割を使えば割引分が39,600円となり、お得となるわけです。
盲目的にセット割が適用できるものを選ぶのではなく、最もお得なものを選んだ方が良いですよね。
セット割も考慮して使うのがおすすめな格安SIM・光回線はこれ!
上記で紹介したように、無理にセット割を利用するのではなくセット割なしでも安いものを使いたいところ。
ただもちろんセット割にはセット割の良さがあるので、ここではおすすめなのを解説していきましょう。
まずとにかく安く使いたいというのであれば先ほど挙げたSo-net光プラスが最もおすすめ。1年目・2年目の料金が非常に安く、3年間の合計料金が他の光回線よりも安く済みます。
ただネックなのが「3年契約」であるという点です。もし3年以内に解約することになると解約金として2万円かかってしまいます。
ですのでもし3年は長すぎる、せめて2年というのであれば以下のセット割が利用できる光回線を選ぶのがおすすめ。
最後に契約期間に縛られるのが嫌、縛りなしで安い光回線が良いという場合は「おてがる光」がおすすめです。
それぞれのセット割引について、特徴や割引額の概要を見ていきましょう。
【So-net光プラス】セット割なしでも他社より安い光回線
月額料金が他社に比べてかなり安くなっているのがSo-net光プラス。格安スマホとのセット割が適用できなくても、安く利用できるのでおすすめです。
3年目以降は月額約2,200円アップ(戸建て3,828円→6,138円、マンション2,728円→4,928円)してしまいますが、3年契約で他社に乗り換えることが前提ならば総額で見てもかなりお得。
光コラボであり、NTT回線である為、エリアの問題もなくほとんどの地域・マンションで導入可能です。
唯一ネックなのは他社が基本的には2年契約であるのに対してSo-netは3年契約であるという点。長期契約が前提であることが嫌な人は避けた方が良いかもしれません。
【OCN光とOCNモバイル】最大5契約で1,100円まで割引可
「OCN光モバイル割」は、OCN光とOCNモバイルをセットで契約すると、月額料金に一律230円の割引が適用されるというものです。
また、格安SIMでは珍しく最大5回線まで適用できるので、家族5人で利用した場合の割引額は1,100円になります。
OCNモバイルONEには、前述したように家族で通信容量を共有できる「容量シェア」もあるので、組み合わせて使えば通信費をかなり節約することができるでしょう。
【IIjmioひかりとIIjmio】mio割で毎月660円割引!キャンペーンもあり
「mio割」は、IIjmioひかりと格安スマホ(IIJmio)をセットで契約すると、スマホ代が毎月660円安くなるというものです。
ただし、セット割引が適用されるのは1回線のみ。家族みんなでIIjmioを契約していたとしても、割引額は660円なので注意が必要です。
なお、IIJが提供する他の光回線サービス「ビック光」でも、同様のセット割引を受けることができます。
IIjmioひかりとIIjmioのセット割は事前の申し込みが不要なところもポイント。IIjmioひかりとIIjmioをセットで契約した時点で、自動的にセット割引がスタートするので便利です。
IIjmioひかりではネットの通信速度が向上する「IPoEオプション」も無料で利用できるので、IIjmioのスマホを契約している人はぜひ検討してみましょう。
【ビッグローブ光とBIGLOBEモバイル】毎月330円割引は1回線まで
ビッグローブ光とBIGLOBEモバイルをセットで契約すると、月額料金が330円安くなる「光☆SIMセット割」を利用できます。
割引が適用されるのはスマホ1回線のみです。
光回線がフレッツ光の場合は割引額が110円になるので、BIGLOBEモバイルを契約している場合は、同じNTT回線を使っているビッグローブ光を選ぶ方がお得です。
この割引を適用するためにはエントリーが必要なので、必ず公式サイト上で手続きを行うようにしましょう。
ちなみに、ビッグローブ光ではauスマホとセット割引で契約すると、「auスマートバリュー」の適用でスマホ代が1回線あたり1,100円安くなります。
【おてがる光】契約期間の縛りがなく、月額料金が安い
おてがる光はこんな人におすすめです。
- 契約期間の縛りなしで使いたい人
- とにかく月額料金を安くしたい人
- 既にNTT回線を使っていて、転用や事業者変更を考えている人
おてがる光は、戸建てタイプで月額4,708円、マンションタイプでも月額3,608円と、とにかく安いのが一番の魅力です。
既にNTT回線を引き込んでいて、フレッツ光から転用する場合や、他の光コラボから事業者変更する場合は、工事費が掛かりません。
工事費の縛りを気にする必要もないので、自分の好きなタイミングで解約できます。
セット割が無くても元々の月額料金が安いので、費用をとことん抑えたい人におすすめです。
まとめ|契約期間や月額料金を加味してベストな光回線を探そう
格安SIMと光回線をのセット割を使えば現在よりも通信費をお得にできる可能性があります。
しかし、格安SIMはもともとの月額料金がキャリアより大幅に安いため、セット契約がなくても十分に安いです。
それにまた、セット割引があるからといって安い光回線を選ぶと、契約期間が発生して無理に使い続けることになってしまうかもしれません。
スマホとのセット割引にこだわるのではなく、割引がなくてもお得に使える光回線はあるので、幅広い選択肢から柔軟に選ぶことをおすすめします。