自宅に光回線を引こうと思った時に、まさか工事ができないことがあるとはあまり思いませんよね。
しかしながら戸建てやアパート、マンションでは色々な理由や事情から、工事ができないケースもあります。
本記事では、光回線の工事ができないことがある理由について解説し、工事できない場合の代替案もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
光回線の工事ができないのはなぜ?
光回線の工事の流れは一般的には次のように進みます。
- 契約したい人が申込みをする
- 回線業者から連絡が来て工事日を調整
- 事前調査
- 工事
- 開通
光回線の工事ができないと判断されるタイミングは「申込み」「事前調査」「工事」の3つです。
多くの場合は2つ目の「事前調査」の時点で、建物の構造や内部設備、立地などの観点から工事ができないと判断されてしまいます。
戸建てや集合住宅によっても工事ができない理由は異なりますが、だいたいは以下の理由に集約されるでしょう。
【共通】
- 居住エリアが希望する光回線に対応していない
【戸建て】
- 電柱が遠い
- 隣の家の上に線を通す許可が下りない
- 川や道路をまたぐため国の許可が必要
- 建物の所有者である家族の理解が得られない
【マンション(集合住宅)】
- 契約できる回線が決まっている
- 管理会社や大家さんの許可が下りない
- 電柱よりも部屋の高さが高い
- ポートの空きスペースが無い
では一つずつ確認していきます。
引きたい光回線に対応していないエリアに該当するから
NTT東日本/西日本の回線が全国的に張り巡らされていはいるものの、必ずしもどの地域にもNTTの回線があるとは限りません。
地域全体でCATV(ケーブル)を使っているところがあったり、NURO光(詳細)やauひかり(詳細)には対応していなかったりします。
地域でCATVが普及していて光回線が引かれているエリアに該当していない
地方の郊外や山間の地域では、大手の光回線ではなくCATV(ケーブル)が普及しているところが多いです。
CATVだけでTVや電話、インターネットなどの通信をすることができるため、わざわざそれ以外に別の光回線を引く必要性がなく、他の回線が入ってきていない可能性があります。
NURO光やauひかりなど特定のエリアにしか対応していない回線だったから
先ほど挙げたNURO光や、auひかりはどこの地域でも契約できるような回線ではありません。
まず、NURO光は首都圏や東海、関西、九州、北海道などの一部地域のみしか対応していないため、それ以外の地域で申し込むことができないようになっています。(下図:緑色の地域)
一方、auひかりはNURO光よりも対応地域が多いですが、KDDI系のコミュファ光(詳細)やeo光(詳細)との兼ね合いで、愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県、滋賀県、福井県では戸建て契約を申し込むことができません。(下図:色付きの地域)
自分の地域が対象内かどうかは、各公式サイトの申込画面などから調べることができます。
対象外の場合は申込みを進めることができないようになっているため、この時点で諦めないといけないこともあるでしょう。
光回線の種類や仕組みについては、こちらの記事も参考にしてください。

光回線とは?分かりやすく図解で解説!!WiFiの工事や光電話についてもまとめて紹介
戸建てで光回線の工事ができない理由は?
戸建ての工事の際に、エリア外であること以外の理由で断念されることはほとんどありません。
ただ、以下のようなケースの際には、工事が難しいと判断されることがあります。
- 新たに電柱を立てる必要がある
- 隣家の上を通して回線を引き込む許可が下りない
- 国の許可が必要
- 所有者に工事を認めてもらえない
電柱が遠いから
自宅まで回線を引き込むには、最寄りの電柱から自宅までの距離が重要です。
電柱が遠すぎる場合は、自宅に回線を引き込むために新たに電柱を建てなければいけません。
その際に発生する費用は、約10万円から30万円ほど。
事前調査が済んだ回線業者から電柱設置に掛かる費用を提示されると、そこまでして引くべきかちょっと考えてしまいますよね。
それだけの費用を掛けるくらいなら、他の手段を講じたほうが良さそうです。
最近では、景観保護などによって無電柱化が進んだ地域も増えてきました。
ケーブルや電話線が地中に埋められており、自宅まで回線パイプが通っていればそのまま回線を引き込むことができるので、電柱が近くになくても問題はありません。
(参考:国土交通省「道路の無電柱化低コスト手法導入の手引き(案)- Ver.1 -」)
隣の家の上に線を通す許可が下りないから
電柱が近くにあっても、引き込むには隣の家の上を通さなくてはいけないというケースがあります。
回線を引きたい側としては何としてでも通してほしいですが、相手の立場になって考えてみると、自宅の上を電線が通るとなると、あまりいい気持ちではありませんよね。
もし、隣人の許可が下りなかった時は、他の手段を考えてみましょう。
なお、隣家への許可取りは回線業者がしてくれるので、こちら側が直接尋ねることはありませんので安心してください。
川や道路をまたぐため、国の許可が必要だから
最寄りの電柱が河川や道路をまたぐことになる場合、国の許可が必要になる場合があります。
回線業者から依頼をしてその許可が下りなかったとなると、光回線を引き込むのは難しいでしょう。
建物所有者の理解が得られなかったから
(引用:「auひかり工事の概要」)
最近の工事では、建物壁に配線を固定するために留め具を使い、電話配管やエアコンダクトを使って極力建物に穴を空けないような配慮をされていることが多いです。
ただ、「固定回線の工事をすると壁に穴が空く」「壁に金具跡が付くのは嫌だ」という考えを建物所有者がもっていると少し厄介かもしれません。
光回線工事をする際には、必ず建物所有者と話をして理解を得ておくようにしましょう。
マンションの光回線の工事ができない理由は?
マンションやアパートなどの集合住宅で光回線の工事ができない時は、以下のような説明をされることがあります。
- 指定された回線への契約が必要
- 管理会社や大家さんの許可が下りない
- 電柱の高さが足りない
- 設備のスペースが足りない
マンションで利用できるインターネット回線が決まっているから
マンションとして既にインターネット契約をしている場合は、入居者が利用できる回線が決まっていることがあります。
例えば、auひかりの回線を引いている集合住宅では、auひかりのマンションタイプに加入することを求められるでしょう。
集合住宅に新たに回線を引くとなると、回線利用を希望する戸数が一定以上にならないと導入できないなど、希望がすぐに通ることは少ないです。
管理会社や大家さんの許可が下りないから
最初からLANポートやモジュラージャック、光コンセントが配置されている部屋なら特に問題はありません。
しかし、集合住宅として回線を引いていない建物だった場合、新たに内部設備工事や各戸の工事などが必要になってきます。
入居時の契約書に「工事をする場合は許可を得ること」と記してあるところがほとんどなので、勝手に契約するのはもちろんダメです。
許可が得られなければ、工事に進むことは難しいでしょう。
3階建て以降の高さの部屋は電柱よりも高くなってしまうから
回線が引き込まれていない場合で、アパートなど2階以下の高さであれば、マンションプランではなくホームタイプでの契約になる場合があります。
両プランの違いは、電柱から回線を引き込むか、マンション内部の設備を通して引き込むかです。
つまりは、規模の小さな集合住宅ではマンションタイプに必要な設備機器が無いため、電柱から直接部屋に引き込んで対応するしかないということですね。
しかし、3階以上になると電柱よりも部屋の方が高くなってしまうことがほとんどで、ホームタイプの適用すらできない場合もあります。
いくつか依頼することで工事ができたという人もいるので、ダメ元で依頼することも選択肢に入れておくと良いですね。
マンションの集合装置のポートに空きスペースがないから
築年数が経っているマンションやアパートの場合、建物の回線を管理している集合装置のポートが不足していると、回線環境が整っていたとしても利用できないことがあります。
そこで回線を利用するには、ポートを増やしてもらうか固定回線を利用する人が減るのを待つかになってきますが、どちらもいつになるかは分かりません。
新たに引っ越す時は、ネット回線が整備されていたとしてもすぐに使えるのかを確認しておくべきです。

引っ越しで必要なネットの手続きとは?手続きや工事予約、かかる期間などをまとめて紹介
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光回線の工事ができない場合はどうしたらいいの?
業者の判断により工事ができないと言われた場合の、その後の対応についてまとめました。
工事費用はかからない
どうしようもない事情があったということなので、工事ができない場合は工事費用が掛かることはありません。
ちなみに、工事をしてからキャンセルをしたくても工事費用は請求されてしまうので、注意してください。
エリアに対応している光回線を探す
希望している回線がエリア外だった時は、居住地域や住宅に対応した回線契約を検討しましょう。
NURO光は年々対象地域の拡大を続けており、現在はエリア外の地域も数年後はエリアが対応しているかもしれません。
これまでauひかりやNURO光にこだわっていた人でも、NTT東日本あ西日本の回線を使った光コラボの契約を考えてみるのも良いでしょう。
フレッツ光の回線を利用する光コラボであれば、上記の回線よりもずっとエリアが広くほとんど対応可能です。
ドコモ光
ドコモ光 | ||
基本料金 | 【マンション】 月4,400円~ |
【戸建て】 月5,720円~ |
工事費 | 無料(※1) | |
キャッシュ バック |
最大20,000円 +dポイント2,000ポイント |
|
セット割 (ドコモ) |
1台あたり最大月1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 | |
支払い方法 | クレジットカード 口座振替(無料) 携帯とまとめて請求払い |
※1:配線設備新設時は16,500円~
現在ドコモのスマホを使っている人は、ドコモ光一択。セット割によってスマホ代が1台あたり最大1,100円安くなるので、最もお得に利用することができます。
また、ドコモ光では24社のプロバイダから選ぶことができますが、最もおすすめなのは「GMOとくとくBB」です。キャッシュバックの額が最も高い上に貰えるタイミングが速いというのがその理由となっています。
So-net光プラス
So-net光プラス | ||
基本料金 | 【マンション】 1~24ヶ月:2,728円 25ヶ月~:4,928円 |
【戸建て】 1~24ヶ月:3,780円 25ヶ月~:6,138円 |
工事費 | 戸建ては5年、マンションは4年間の 割引で実質無料 |
|
キャッシュ バック |
なし | |
セット割 (au) |
1台あたり月550円~1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 | |
支払い 方法 |
クレジットカード 口座振替(220円) KDDI請求払い |
キャッシュバックはないものの、月額料金が他社に比べてかなり安くなっているのがSo-net光プラス。
auスマホユーザーであればauひかり同様、スマホ代がプランによって550円から1,100円割引されます。
3年目以降は料金が高くなってしまうのがネックですが、キャッシュバックの貰い忘れといった心配もなく、総額で考えてもキャッシュバックをたくさん貰える他社と遜色ありません。
セット割を考慮する必要がない格安スマホユーザーにとって、最もおすすめだと言えるでしょう。
フレッツ光コラボなので対応しているマンションも多いです。
ソフトバンク光
ソフトバンク光 | ||
基本料金 | 【マンション】 4,180円 |
【戸建て】 5,720円 |
工事費 | 24ヶ月分割引で実質無料(乗換時) | |
キャッシュ バック |
最大36,000円 | |
セット割 (ソフトバンク) |
1台あたり最大月1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 | |
支払い方法 | クレジットカード 口座振替(無料) 携帯とまとめて請求払い |
ソフトバンクスマホユーザーは、セット割(最大月1,100円)を受けることができるソフトバンク光がおすすめ。
キャッシュバックも多く、乗り換えの場合であれば工事費は無料ですし、他社違約金や撤去工事費用も最大100,000円まで負担してくれます。
また、ソフトバンク光はフレッツ光コラボである為、エリアが広く対応しているマンションも多いです。
クラウドSIMやWiMAXなどのポケットWiFiを契約する
ネットをよく使う人ならば、固定回線よりも速度は落ちるものの、大容量通信のできるWiFiやWiMAXなどのポケットWiFiを利用するのも良いでしょう。

そもそも回線工事が要らないですし、基本料金も固定回線より安く設定されていることが多いです。
例えば、100GBの大容量WiFiであればMugen WiFiや、どこよりもWiFiなどがお得に使えます。
月間データ容量に制限のないポケットWiFiが良ければ、WiMAXを検討してみるのも一つです。
WiMAXは合算で3日10GB使ってしまうと速度制限がかかりますが、制限が掛かるのは3日で10GBを超過した翌日の夜間帯だけ。
つまり、使いようによっては100GB以上使うこともできるというわけです。GMOとくとくBB WiMAXや、Broad WiMAXがお得に使えるのでチェックしてみてください。
SoftBank Airなどコンセントを挿すだけで使えるホームルーターを契約する
固定回線の替わりにホームルーターを契約する方法もあります。
ポケットWiFi同様、ホームルーターは工事不要です。契約後コンセントを挿すだけで通信ができるため、小難しい設定などは必要ありません。

これなら、工事ができないと言われた家でも使えますね。
ホームルーターの中で代表的なものは、SoftBank AirやモバレコAir、WiMAXホームルーターなどがあります。
ホームルーターはポケットWiFiに比べて端末が大きいため、速度が速く、同時接続台数も多いなどメリットも多いです。
ホームルーターの中だと、キャッシュバックが多いモバレコAirがおすすめ。
外出先では使わず自宅のみで使う人、オンラインゲームをするなどより速度や安定性が必要な人も使いやすいはずです。
CATV(ケーブルテレビ)を利用する
地域ぐるみでケーブルテレビの利用が多ければ、CATVに加入してみるのも良いでしょう。
中にはv6プラスやv6アルファのようなIPv6の技術を導入している地域もあり、IPv4の光回線を利用しているよりもずっと速い通信をすることができます。
なお、2000年代に一気に広がったADSLは既に廃止が決まっており、新規申込みも終了していますが、光回線の引かれていない一部の地域では廃止後も引き続き利用は可能です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

ADSLの終了!廃止時期や乗り換え先案。代わりの回線は光回線、それともWiMAX?
スマホを大容量プランにしてテザリングをする
「とりあえず固定回線を引いていたけれど、無いなら無いで何とかなりそう」という人は、携帯のプランを大容量に変更して様子を見ても良いでしょう。
テザリングを使えば、パソコンやタブレットなどの他の機器でもネットが使えます。
ただし、キャリアの大容量プランは割高であることや、テザリングできるデータ量に上限が設けられているプランもあるため、そこまでおすすめはできません。
プラン | テザリング データ量上限 |
月額料金 (割引前・税込) |
ドコモ 5Gギガプレミア |
無制限 | ~8,046円 |
au 使い放題MAX 5G |
30GBまで | ~7,238円 |
ソフトバンク メリハリ無制限 |
30GBまで | ~7,238円 |
楽天モバイル UN-LIMIT Ⅵ |
無制限 | 3か月目間無料 0~1GB:0円 1~3GB:1,078円 3~20GB:2,178円 20GB~:3,278円 |
楽天回線で通信できれば、楽天モバイルはテザリングも無制限に使えて、20GB以上使ったとしても月額料金は3,278円。しかも今申し込めば、3か月間月額料金が無料になります。
そして4か月目以降も、月1GB未満のデータ使用量であれば維持費はかかりません。
同じく無制限で使えるドコモの5Gギガプレミアと比べてもかなりお得です。
テザリングの利用を考えているなら、楽天モバイルを検討してみましょう。
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大容量の通信できる方法は多い。他の手段を検討するのもあり
光回線が工事できない理由についてまとめると、次の通りです。
- 居住エリアが希望する光回線に対応していない
- 電柱が遠い
- 隣の家の上に線を通す許可が下りない
- 川や道路をまたぐため国の許可が必要
- 建物の所有者である家族の理解が得られなかったから
- マンションで契約している回線が決まっている
- 管理会社や大家さんの許可が下りない
- 電柱よりも部屋の高さが高い
- 集合装置(ポート)の空きスペースが無い
どうしても工事できない場合は仕方が無いと割り切って、ポケットWiFiやホームルーター、テザリングなど代替手段で対応するのが賢明です。
いずれの場合も自宅でどの程度使えるかエリア確認をしたうえで申し込みをしましょう。