メッシュWiFiとは、近年広がってきた新しいWiFiネットワークの仕組みで、注目が高まってきている話題のWiFi機器です。
メッシュWiFiを利用することで、これまでWiFiが届きにくかった範囲まで電波が届きやすくなると言われています。
本記事では、メッシュWiFiの仕組みや特徴、メリット・デメリット、おすすめのメッシュWiFi一覧について解説していきます。
中継器の購入で悩んでいる人や、宅の電波環境を改善したい人は、ぜひ参考にしてください。
メッシュWiFiとは?仕組みや特徴
メッシュWiFiの概要について見ていきましょう。
メッシュWiFiとは?
メッシュWiFiとは、親機と中継機同士が互いに通信しあうことで網目(メッシュ)状にネットワークを構築する仕組みのことです。
1階にあるWiFiルーターから距離のある2階まで電波が届きにくい、電波が途切れやすいなど自宅の通信環境に悩み、中継器の設置を検討している人もいるでしょう。
自宅の間取りや大きさによってはルーターと中継機だけで十分賄うことも可能ですが、2階や3階、部屋の隅まで電波を行き届かせたい時は、メッシュWiFiが有効です。
メッシュWiFiと中継器の違いは?
メッシュWiFiとよく似ているのが中継器。
これらの違いは、親機に掛かる負担の大きさにあります。
メッシュWiFiは、親機と中機機同士が通信し、中継機であっても親機の通信機能をもった通信が可能です。
親機以外の子機中継機が、親機と同じような役割をするため、親機1台に負担が掛からない仕組みを作ることができます。
対して、中継器はあくまでも電波を受け取って飛ばしているだけで、通信の際には結局親機を介さなければいけません。
一台のルーターに対する接続台数が多くなると、当然回線速度は遅くなりますし、ルータの消費電力や寿命にも影響してきます。
家が広くて電波が届きにくいうえにルーターの接続台数が上限に近いようであれば、メッシュWiFiの利用を検討してみましょう。
トライバンド対応機器なら4K動画配信サービス対策にもなる
動画配信で4Kが増えると、通信には大きな負担が掛かります。
大容量通信には高周波数帯や複数の周波数帯利用が有効です。
トライバンドなら、4Kのような大容量通信が必要な場合でも安定した通信で快適に視聴できます。
2.4GHzのみはシングルバンド、5.0GHzも使えればデュアルバンド
通信機器で使われている周波数帯のことを、専門用語でバンドと言います。
スマホで使われている700Mpsから900Mbpsの周波数帯が、通信に適した繋がりやすい周波数帯として「プラチナバンド」と呼ばれているのを聞いたことがある人もいるでしょう。
対して、大容量通信に使われる無線LANルーターやポケットWiFiでは、プラチナバンドよりも高周波数でデータの伝達速度が速い2.4GHzや5.0GHzのバンドが使われることが多いです。
このうち、通信で使われるのが2.4GHzのみの場合をシングルバンド、加えて5.0GHzも使える場合をデュアルバンドと言います。
電波干渉を避け、より速い速度で通信するための手段として、使えるバンド数はWiFi選びの重要なポイントです。
W56で通信する5.0Ghzも使えるとトライバンド対応で4Kも安心
バンドの中には部屋が細かく分かれていて、デュアルバンドで使われていたのはW52とW53でした。
ここにW56の5.0GHzバンドが加わるとトライバンドとなり、高周波数帯で通信できるバンドが増えることで、4K動画配信などの大容量通信に対応できるようになります。
ネット中継によるスポーツイベントやオンラインゲームで4Kの高画質映像を楽しみたいなら、トライバンド対応のメッシュWiFiの利用がおすすめです。

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メッシュWiFiのメリット・デメリット
メッシュWiFiのメリットやデメリットについて見ていきましょう。
メッシュWiFiを使うメリット
メッシュWiFiを使うメリットは以下の通り。
- WiFiルータや中継機よりも広く電波を行き届かせることができる
- 中継器のように自分でバンド設定を追加で行う必要がない
- 複数のメッシュWiFiがあれば、一つが故障しても通信に困らない
- IoT家電やスマート家電は中継器だと連携しにくいがメッシュWiFiだと便利
- IPv6に対応している機器がほとんどなので、将来的にも長く使える
一つずつ確認していきます。
WiFiルーターや中継器よりも広く電波を行き届かせることができる
WiFiルーターや中継器だけでは、電波の届く範囲に限界があります。
たとえ中継器を使って別階や奥の部屋まで電波を行き届かせようとしても、WiFiルーターと中継器の位置関係的に難しいということもあるでしょう。
メッシュWiFiなら、中継器ほど設置箇所に気を遣わなくても電波環境を作ってくれるので助かります。

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中継器のように自分でバンド設定を追加で行う必要がない
中継器によっては、電波干渉しないように手動でバンド設定が必要になることも。
設定がうまくいかなければ接続や通信が不安定になり困ったことになります。
追加設定が不要なメッシュWiFiなら、設置後の心配も要らないでしょう。
複数のメッシュWiFiがあれば、一つが故障しても通信に困らない
メッシュWiFiは、機器同士が通信して電波を届ける仕組みになっているため、たとえ中継機が故障しても他の中継機がネットワークを補ってくれるため通信できなくなることがありません。
中継器が壊れるとカバーしていた空間での作業ができなくなるのに対し、通信環境を継続できるメッシュWiFiはありがたいですね。
IoT家電やスマート家電は中継器だと連携しにくいがメッシュWiFiだと便利
スマートスピーカーやスマート家電を使って電気を消したり冷暖房を付けたりなど、音声やスマホで家を管理しているという人も増えてきました。
残念なのが、中継器はこういったIoT家電やスマート家電と連携しにくいこと。
せっかくスマートに管理したくても、中継器を介すとうまくいかないことがあります。
メッシュWiFiなら機器同士の通信によって情報を共有し、個別の設定も必要ないため、IoT家電やスマート家電の操作で悩むこともありません。
IPv6に対応している機器がほとんどなので、将来的にも長く使える
多くのWiFi機器で使われているIPv4アドレスは、近い将来枯渇すると言われています。
そのため、現在利用が広がっているのは、IPv4より速い通信が可能であり、理論上無限に生成されるIPv6 IPoE規格です。
ただ、IPv6の速さでの通信を望む場合、モデムやルーターがIPv6に対応していなければいけません。
販売されているメッシュWiFiの機器の多くはIPv6に対応している機器がほとんどなので、将来的にも長く使えるので助かりますね。

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メッシュWiFiを使うデメリット
メッシュWiFiを使うデメリットは以下の通りです。
- メッシュWiFiだけでは使えない。固定回線等のネットがあることが前提
- いくら性能が良くても元の回線速度が遅ければWiFiも遅い
- 機器の価格が高額で手を出しにくい
- 有線LANを3台以上接続するならスイッチングハブが必要
- オンラインゲームには不向きかも。ゲーム機への接続は有線で
- 2階に床暖処理されているとメッシュWiFi空間を構築しにくい
一つずつ確認していきます。
メッシュWiFiだけでは使えない。固定回線等のネットがあることが前提
肝心なのは、メッシュWiFiがあればネットが使えるわけではないことです。
広告を見ていると、メッシュWiFiを各部屋に設置するだけでネットに接続できると錯覚させられるものも見受けられますが、これは間違いです。
メッシュWiFiはあくまでも、アクセスポイントを増やしてメッシュ状にネットワークを作る機器であって、置くだけでネットに繋がる機器ではありません。
コンセントに挿すだけで繋がるホームルーターやソフトバンクエアーとは異なるので、注意してください。

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いくら性能が良くても元の回線速度が遅ければWiFiも遅い
性能の良いメッシュWiFiを選んだところで、メッシュWiFiが速度を向上させてくれるわけではないため、ネットの回線速度が遅ければメッシュWiFiで作るネットワークの速度も遅くなります。
特に、利用者の増える夕方や夜間は回線混雑よる低速化が発生し、速度はますます落ちる一方です。
確かにメッシュWiFiを設置することでカバーされる範囲は広がりますが、回線速度が遅いのであればメッシュWiFiを設置するのは勿体ない気もします。
メッシュWiFiを設置するよりも、ネットの回線速度自体の改善を考えるのが先決です。

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機器の価格が高額で手を出しにくい
WiFiルーターであればサイズが小さくても高性能なものが5,000円以下で手に入りますが、メッシュWiFiは2~4万円を超えるような高額な機器が多く、手を出しにくいのが現状です。
電波の死角を無くすことを考えると中継機の数は多いほど良いですが、何個も揃えるのは結構な出費になります。
ただ、単体で購入するよりもセットで複数個を購入した方が安いことがあるので、購入前は電波の繋がりを良くしたい部屋の数や設置可能場所を考慮したうえで無理せずに購入するようにしましょう。
有線LANを3台以上接続するなら機器を買い足すかスイッチングハブの購入を
メッシュWiFiは有線LANポートが2台までの機器が多いです。
3台以上繋げたければ機器を買い足したり、スイッチングハブでポートを増設するしかありません。
部屋数が多いと一カ所に有線LANをまとめるのは難しくなるため、中継機の追加購入がおすすめです。
オンラインゲームには無線接続は不向き。ゲーム機への接続は有線で
反応速度が求められるような対戦型オンラインゲームをプレイするなら、中継機は無線接続ではなく有線LANで接続するようにしましょう。
メッシュWiFi以外の接続でも言えることですが、やはりping値は無線より有線が勝ります。
ただ、メッシュWiFiなら親機以外の中継機(子機)と接続しても同じような接続を実現してくれるため、場所に縛られずにプレイできるでしょう。

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2階に床暖処理されているとメッシュWiFi空間を構築しにくい
床暖房のために張られた金属板はWiFiの電波を透過しにくく、メッシュWiFi空間を構築しにくい原因となります。
2階を床暖房にする時は、2階にも回線を引いて別にWiFiを運用した方が良さそうです。
おすすめできるメッシュWiFiルーターはどれ?
いざメッシュWiFiルーターを選ぼうと思っても、何を基準にして選べば良いのかは難しいですよね。
「価格性」「機能性」「デザイン」「セキュリティ」の4観点に分けて紹介していきます。
名称 | Google Wifi![]() |
Obri
|
Velop
|
Deco M5
|
Plume
|
CONNECT
|
提供 | NETGEAR | LINKSYS | TP-LINK | j:com | BUFFALO | |
価格 | ★★ | ★★ | ★ | ★★★ | ★ | ★★ |
機能性 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
デザ イン |
★★★ | ★★ | ★★ | ★★ | ★★★ | ★ |
セキュ リティ |
★★ | ★ | ★★ | ★★★ | ★ | ★★★ |
Google好きなら「Google Wifi system Router」
価格 | ★★ |
機能性 | ★★ |
デザイン | ★★★ |
セキュリティ | ★★ |
シンプルでスマートで、部屋にも馴染むすっきりとしたデザインのメッシュWiFiが「Google Wifi システムルーター」です。
デュアルバンドで、アクセスポイントごとに1Gbpsで接続できるLANポートが設置されています。
メッシュWiFiの本領を発揮させるには3つ以上の設置が推奨されていますので、できるだけ複数個の購入が望ましいです。
セットアップにはGoogleアカウントやGoogle Wifiアプリを使います。
NETGEARの「Orbi Micro」ならトライバンド対応
価格 | ★★ |
機能性 | ★★★ |
デザイン | ★★ |
セキュリティ | ★ |
ころんとした形の可愛い見た目ながら、トライバンド対応。
子が利用する端末に入っている特定のアプリや機能に対し、親が使用制限を掛けるペアレンタルコントロールに対応しており、子供のいる家庭におすすめのメッシュWiFiです。
ただ、初期設定やファームウェアに不安があるという口コミや評判が多いため、Wifi初心者には設定が難しく感じられるかもしれません。
LINKSYSの「Velop」はトライバンド対応で購入者の満足度も高い
価格 | ★ |
機能性 | ★★★ |
デザイン | ★★ |
セキュリティ | ★★ |
Apple Storeでも販売されているLINKSYSの「Velop」は、3つセットで5万超と価格も割高。
それでも、カバー範囲がObriやGoogle Wifiに比べて広いことや、最大接続数が200台まで可能なことなど機能面が充実しています。
トライバンド対応で購入者の満足度も高く、何しろAppleが信頼しているメッシュWiFiなのでApple好きにもおすすめです。
アンチウイルス対応ルーターならTP-Linknの「Deco M5」
価格 | ★★★ |
機能性 | ★★ |
デザイン | ★★ |
セキュリティ | ★★★ |
TP-LINK Wi-Fiの強みは、アンチウイルスセキュリティが3年間無料で使えること。
接続している全ての端末を脅威から守ってくれることや、セットアップがアプリで簡単にできる点においても、高評価を得ています。
サイズも小さくて場所を取らないので、とりあえず気軽にメッシュWiFiを自宅に導入したい人におすすめです。
自宅でJ:COMを契約しているなら「Plume」がお得に使える
(引用:j:com公式サイト「Plume」)
価格 | ★ |
機能性 | ★★★ |
デザイン | ★★★ |
セキュリティ | ★ |
六角形の形が印象的なアメリカ発の「Plume」のメッシュWiFiが、日本ではJ:COMから提供されています。
J:COMの契約者であれば、月額料金に880円(もしくは1,100円・税込)のオプション料金を加えるだけで利用できます。
しかし、設置工事費として別途5,280円、撤去費5,280円(税込)が発生するため、1年以上利用することを考えると機器を自前で用意した方がお得かもしれません。
ちなみに、これらの料金が0円になるキャンペーンが行われていることもあるため、気になっている人は利用してみるのも良いでしょう。
(引用:J:COMメッシュWiFiキャンペーン)
WiFi6やIPv6に対応したBUFFALOの「CONEECT」
価格 | ★★ |
機能性 | ★★★ |
デザイン | ★ |
セキュリティ | ★★★ |
無線LANルーターはいつもBUFFALOを使っているなら、メッシュWiFiもBUFFALOが良いでしょう。
WiFi 6やIPv6の対応や無線引っ越し機能など、最新ながらもユーザー目線の機能が多く使いやすいです。
価格もそこまで高額ではないので、新しいBUFFALOルーターが欲しい人におすすめです。
なお、こちらもトライバンドに対応しています。
メッシュWiFiが不要かもしれないのはどんな人?
設置すれば快適な接続環境を作れそうなメッシュWiFi。
ただ、高額な製品が多いなかで「使ったところで大して意味がない」「性能を持て余してしまう」のは何だか勿体ないですよね。
無線LANルーターや中継機で十分なら、わざわざ買う必要はないかもしれません。
一人暮らしや二人暮らしで、2LDK以内のアパート住みの場合
メッシュWiFiは、基本的に4部屋以上の広い空間で使うために用いるものです。
一人暮らしや二人暮らしで、固定回線のある2LDK以下の部屋に住んでいる場合は、無線LANルータで十分でしょう。
風呂場や洗面所の電波が弱ければ、アンテナの調整や中継器の設置でも間に合います。
それに自宅でがっつりネットを使わないなら、固定回線ではなく、ポケットWifiやホームルーターを契約しても良さそうです。
通信費に回せるお金があまり無い場合
通信環境を改善したくても、掛けられるお金には限度があります。
古いルーターを使い続けるくらいなら、新しいルーターを迎え入れたほうが良いでしょう。
ただ、新ルーターと中継器を組み合わせて購入しても、メッシュWiFiよりは投資額が少なくて済みます。
口コミや評判を見ていると、子機を追加購入している人が多く、予算額を上回る可能性が高いです。
それに、今後メッシュWiFi市場はより盛り上がり、参入企業も増えて価格帯の幅も広がるでしょう。
今すぐメッシュWiFiの環境が必要でなければ、もう少し種類が増えて価格が落ちてから導入してみても良いかもしれません。
集合住宅で使える光回線の速度が遅い場合
無料でネットが使える集合住宅は多いですが、難点は速度の遅さ。
私自身、戸建ての実家で過ごしてから集合住宅に引っ越した時に、回線速度の遅さにかなり衝撃を受けました。
しかし、実際はルータの買い替えと周波数帯の切り替えだけで、速度の遅さは随分と改善され、今では特に不自由なく使っています。
マンションやアパートであっても回線自体が速いところもありますが、手持ちのルータや電波干渉が原因で遅くなることは往々にしてあることです。
5.0GHzバンドを使ったり、設置場所を少し変えるだけで接続が安定する可能性もあります。
「メッシュWiFiにすれば改善される」と考えるよりは、「今ある手段で改善できること」を試してみましょう。
それらでも改善されず、回線契約を変更しても改善されなければ、LTE通信の使えるポケットWifiを検討してみるのも良いでしょう。
遅い固定回線よりもずっと速く通信できます。
メッシュWiFiが本当に必要かを一旦考えるようにして
メッシュWiFiの概要やメリット・デメリット、メッシュWiFiが不要な人について見てきました。
電波を隅々まで届ける方法としてルーターと中継器を活用する方法が多いなかで、気軽に設置できて電波が届きやすくなるメッシュWiFiは画期的な通信方法と言えます。
ただ、どの製品も割高であり、初期設定に苦労している口コミや評判が多いです。
アプリの手順に従ってうまく設定ができなければ、高い額を出して手に入れるには勿体ないかもしれません。
本当に自宅にメッシュWiFiを設置するべきかは一旦立ち止まって、よく考えておきましょう。
