クラウドSIMを使った無制限プランの多くは、トリプルキャリアに対応した回線で通信しています。
ただ、それらのSIMがRakuten mobileの回線を掴むと、通信速度がかなり落ちることが分かってきました。
本記事では、どんなときもWiFiと限界突破WiFiなどのトリプルキャリアを使うクラウドSIMがRakuten mobile回線(楽天回線)を拾った時の速度とその対処法について、実際の体験を交えて解説します。
トリプルキャリアとは
先ほどから使っているトリプルキャリアとは、自社回線を持っているドコモ・au・ソフトバンクの3つの通信キャリア(MNO)のことです。
総務省の報告書※1によると、全国の基地局数は2018年時点でドコモが20万局以上、auとソフトバンクもグループ会社を併せると17万局以上設置してあるため、人が暮らしているエリアでキャリアの電波が繋がらないということはほとんどありません。
自社回線をもたない格安SIM(MVNO ※2)などは、これらの大手3社に対して利用料を支払うことで回線を借り、ユーザーにサービスを提供しています。
※1:参考「平成30年度携帯電話・全国BWAに係る電波の利用状況調査の調査結果及び評価結果の概要」
※2:MVNOやMVNEについては別記事「意外な会社がMVNOになれる理由」も参照してください。
Rakuten mobile回線(楽天回線)とは
(引用:楽天モバイル公式)
トリプルキャリアに加えて、2019年10月から第4のキャリアとしてMNO事業を開始するはずが、予定がずれこみ、2020年4月から本格的にサービスを開始しているRakuten mobile回線です。
Rakuten mobile回線は第4のキャリアとしてのサービス開始
Rakuen mobileでは以前までドコモとauの回線を借りて通信サービスを提供していました。
しかし、第4のキャリアとしてMNO事業を開始する予定だった10月直前になって発表されたのが一部地域を対象とした「無料サポータープログラム」。
これはサービスが本格的に始まるまでの期間において、無料で無制限に通信できるというプログラムで、東京23区、大阪市、名古屋市および神戸市のいずれかに住んでいる5,000人を対象としたものです。
結局、2020年4月にサービスが開始されてからは、基地局の設置が段階的に進められています。
なお、楽天エリア外の地域や繋がりにくい場所はKDDI(株)・沖縄セルラー電話(株)の通信を使える協定(※ローミング協定)が結ばれているため、auの回線で通信することができます。
(※参考:楽天mobileプレスリリース)
クラウドSIMで掴むRakuten mobile回線は、ドコモ回線?au回線?
2020年8月の決算会見で、楽天の基地局は21年夏ごろまでには人口カバー率96%(2万7397局)に達することを見込んでいます。(2020年6月時点で5,739局達成)
2020年現在のRakuten mobile回線を一旦整理すると、次のようになります。
- 都市部ではRakuten mobileの自社回線(MNO)を使える
- その他の地域や繋がりづらいエリアではローミング協定を結んだau回線を拾う
こうした中で問題になったのは、トリプルキャリアに対応しているはずのクラウドSIMのポケットWiFiが、Rakuten mobile回線(楽天回線)を拾ってしまうこと。
どんなときもWiFiのお客様サポートTwitterアカウントでは、ユーザーからの指摘に対して以下のように答えています。
お問合せありがとうございます。
当サービスはソフトバンク/ドコモ/auのネットワークに対応としており、その中にはキャリア回線を利用しているMVNOサービスの回線も含まれます。ご指摘の楽天に関してはdocomoのMVNOサービスとなります。(1/3)— どんなときもWiFiお客様サポート (@donfi_support) October 18, 2019
すなわち、「トリプルキャリアに対応」という言葉にはMNOだけでなくMVNOの回線を掴むという意味が含まれており、クラウドSIMが拾っている楽天回線はドコモ回線を使っている楽天のMVNOだということです。
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クラウドSIMが楽天回線を掴むと速度が遅いという口コミも
(引用:LinksMate公式HP)
MVNOの通信速度は、借りている回線の量と利用状況によって変動し、利用者数が多ければ多いほど回線が混雑して「繋がりにくい」「遅い」といった状態に陥ります。
そのため、クラウドSIMがMNVOの楽天mobile回線(ドコモから借りている回線)を拾ってしまうと、他の回線に比べて速度が落ちてしまう可能性が大きいです。
実際に楽天mobile回線を掴んでしまった利用者の評判や口コミから見えてきたのは、「楽天回線を掴むと速度が遅くなる」状態になった時の速度に対する不満でした。
どんなときもwifi 7日間経過。
1日10GBほど使ってるが、速度変わらず↓
(基本auで、46mbpsはソフトバンク2mbpsは楽天)なかなか良いぞ。 #どんなときもwifi pic.twitter.com/vIbDkV94rt— ゆう◢͟│⁴⁶ (@yu_kotori_aaa) October 18, 2019
どんなときもWiFiずっとソフトバンクで繋がっていたエリアが急に楽天になり、1Mbps程度しか出なくなった。エリアによってじゃなく、基本は楽天にさせるとしか思えない。とりあえず様子見だがずっとこのままでは動画もたいして見られないし耐えられないな。 https://t.co/Gs5GD292yP
— jun (@urawajun) October 31, 2019
限界突破WiFi
楽天モバイルにも繋がるの!?
それにしても2Mbps…遅い…#限界突破WiFi pic.twitter.com/idjK91CBwX— Piyo283 (@piyo_ssss) November 5, 2019
どんなときもWiFiや限界突破WiFiで突然速度が落ち、1Mbps~2Mbpsの速度に突然落ちるという事例が報告されています。
先日、私も実際にどんなときもWiFiや限界突破WiFiで突然速度が落ちて楽天mobile回線に繋がるという現象に出会いました。
どんなときもWiFi、限界突破WiFi、めっちゃWiFiがRakuten mobile回線を拾うと速度はかなり遅くなる
どんなときもWiFiや限界突破WiFi、めっちゃWiFiで楽天mobileの回線を拾ったときの状態や速度についてまとめました。
Rakuten mobile回線を拾った時の回線速度
私が楽天回線を拾ったのは、めっちゃWiFiが昼間、その他は夜21時から22時頃でした。
どんなときもWiFiや限界突破WiFiは、普段から同時間帯でも下り速度で平均20M~40bps程度で通信できていましたが、突然がくっと速度が落ちた時に確認すると楽天回線を掴んでいました。

限界突破WiFiのレビュー及び詳細調査、通信速度まとめ。WiMAXやキャリアと比較してみると?
どんなときもWiFiで楽天回線を拾った場合
どんなときもWiFiで楽天回線を拾った時の速度は、夜21時で下り4.85Mbpsで上りが7.78Mbps。
普段の通信速度の5~10分の1の速度に落ちると、ページの読み込みや切り替わりが遅く感じられました。
限界突破WiFiで楽天回線を拾った場合
限界突破WiFiで楽天mobile回線を拾った時の速度は、夜22時で下り1.45Mbpsで上りが7.26Mbps。
夜22時は、ネット利用者の通信量が最も多い時間帯だと言われています。
どんなときもWiFiで楽天回線を拾ったときよりもさらに速度が落ちているのも納得できますね。
めっちゃWiFiで楽天回線を拾った場合
めっちゃWiFiで楽天mobile回線を拾った時の速度は、昼13時で下り1.22Mbpsで上りが12.7Mbps。
上りに対して下り速度が1.22Mbpsは厳しいですね。
TwitterのTL上のリンク記事を読み込むのに10秒程度掛かりました。
再起動後に再度計測(au回線)
Rakuten mobile回線に繋がる状態が続いたので、どんなときもWiFiを再起動したところ、au回線を掴み直してくれました。
下り43.4Mbps、上り24.8Mbpsで普段通りの速度に戻ってくれたので助かりましたね。
めっちゃWiFiは再起動でも楽天回線を拾ったため、その後電源を完全に落としてから繋いでようやくau回線を拾ってくれました。
ネットを使いすぎると楽天mobileに繋がるといった話もありますが、ほとんど通信していなかっためっちゃWiFiでも拾ったことを考えると、通信量よりもエリアや繋がりやすさが優先されたのかもしれません。
今度も楽天mobile回線に繋がることがあれば、その前後の通信や状況について追記していきます。
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他にこの現象が起きる可能性があるポケットWiFi
楽天回線への回線提供はドコモとauであるため、ソフトバンク回線だけを使うよくばりWifiなどのクラウドSIMは、この問題を特に気にする必要はありません。
逆に、トリプルキャリアに対応したクラウドSIMを採用しているポケットWifiは、該当する可能性があります。
2020年現在、楽天mobileを掴む可能性があるポケットWifiは以下の通りです。
クラウドSIMを使った無制限プランは通信速度も速く便利ですが、自分では回線を選べない以上、「トリプルキャリア対応」だとしても、回線が混雑しているMVNOの回線を掴んでしまう可能性があることを理解しておかねばいけないのかもしれません。
Rakuten mobile回線を掴んでしまった時の対処法は?
もし、楽天のMVNO回線を掴んでしまった時はどうしたら良いのかについて解説します。
どんなときもWiFi・めっちゃWiFi・Mugen WIfi(格安プラン)の対処法
どんなときもWiFiやめっちゃWifiの機種U2s(D1)は、とにかく再起動を試みましょう。
U2sの再起動は、電源ボタンを18秒長押しする必要があります。
20秒近くボタンを長押しするのは、なかなか面倒ですよね。
なお、電源を入れ直すのでも良いですが、すぐに入れ直すとあまり意味が無いことがあるため、電源を落としたら1~3分ほど置いてから電源を入れるようにすると確実です。
Mugen WiFi(アドバンスプラン)の対処法
(引用:Mugenwifi公式HP)
GlocalMe G4は画面付きの端末ですが、電波を切り替える時は一度電源を切る必要があります。
側面の電源ボタンを長押しすると「電源を切る」「再起動」を選択できるので、「再起動」を選択しましょう。
限界突破WiFiの対処法
限界突破WiFiはホーム画面で「ON/OFF」を切り替えられるので、まずは一度Wifiを切ってみてください。(機内モード)
それでも同じ回線を掴んだままであれば、Mugen WifiのG4と同じように電源ボタンを長押しして、画面上から再起動を選択してみましょう。
クラウドSIM以外の大容量ポケットWiFiはChatWifiがおすすめ
クラウドSIMは複数のキャリアを掴む為、このように速度が遅くなるという問題があります。
再起動で直るものの、再起動には少し時間もかかるし面倒だという面はぬぐえません。
そこで、それは嫌だという人の為にクラウドSIMではなくソフトバンク回線のみに対応しているポケットWiFiとしてChatWiFiを紹介します。
Chat WiFi | |
容量・料金 | 【1年契約】 20GB:2,100円 50GB:3,180円 100GB:3,278円 【契約期間なし】 20GB:2,300円 50GB:3,480円 100GB:3,520円 |
回線 | 20GB:ドコモ 50GB・100GB:ソフトバンク |
契約期間 | 1年orなし |
中途解約金 | 3,300円 |
- 100GBプラン最安、50GBプランも安く大容量ならこれ!
- 20GBプランは他社の方が安い
- 契約期間なしのプランでも料金差は少ない
Chat WiFiは大容量データSIMの中で最もおすすめのサービス。大容量データSIMの中ではかなり安く使えるようになっています。
また、50GBと100GBで使われるのはソフトバンクの再販型SIMで、キャリアの回線をそのまま使えるのでクラウドSIMのような不安定さもありませんし、速度面もかなり優れています。
なお契約期間は1年と縛りなしを選ぶことができます。
ただ1年契約でも中途解約金は3,300円しかかからないし、逆に縛りなしでもそこまで大きく料金があがるわけではありません。どちらが得ということはないので、目的にあったものを選ぶのが良いでしょう。
クラウドSIMで掴む楽天回線線はキャリアではなくMVNO
クラウドSIMが掴む楽天mobile回線は、楽天のMNO回線ではなくMVNO回線であること、時間帯によっては楽天回線を掴むことでかなり速度が落ちてしまうことについて触れました。
クラウドSIMで掴む楽天mobileの回線は、キャリアの楽天ではなく、あくまでもMVNOのドコモ回線を使った楽天回線です。
「#楽天モバイル無料サポータープログラム」で検索すると30Mbps以上の回線速度を多く見掛けますが、基地局の設置状況を考えると、今後すぐにクラウドSIMに楽天のキャリアが対応していく可能性は低いでしょう。
低速回線から抜け出したい時は、端末再起動などで対処してみてくださいね。
