光回線は今や私たちの生活に欠かせないものになっています。住居を新たに新築するときも、光回線は必ず使えるようにしたいですよね。
しかし、光回線は契約の申し込みをしたからといって、すぐに利用できるようになるわけではありません。
新築で光回線を利用するためには、事前にいくつかの手続きを行っておく必要があるので、早めに準備を始めるようにすることが大切です。
また、光回線の工事を行う前もいくつかの点に注意しておくと、よりスムーズに光回線を利用できるようになるでしょう。
そこで本記事では、新築で光回線を使えるようにするための手続きの流れや重要なポイント、新築におすすめの光回線などについて分かりやすく解説します。
新築で光回線を使うための大まかな流れ
新築で光回線が使うためには、大まかに次の3つの手順で進めます。
- 新築届を役所に提出する
- NTTに住所登録の連絡をする
- 工事日を決定して工事を行う
なお、本記事で紹介する手順はNTTのフレッツ光、もしくは光コラボ回線を利用する際のものとなっています。
NURO光やauひかり、電力系光回線など光コラボではない光回線の場合は、手順が異なる場合があるので、各事業者へ必要な手順について確認してください。
それぞれの手順について、重要なポイントを見ていきましょう。
新築届をハウスメーカーに出してもらうor自分で提出する
光回線を引くにはまず、「新築届」を市区町村の役所に提出する必要があります。新築届とは、新しい土地を立てる際に、住所を確定させるための書類です。
(引用:八王子市公式HP)
新築には住所というものがありません。しかし、光回線を申し込む際は住所が必要になります。
そこで、新築届を出して住所を確定させることで、初めて光回線の申し込みが可能となるのです。
例えば八王子市では、届出要件や必要物について次のように定めています。
届出できる人 | 時期 | 必要なもの |
・所有者 ・建築業者 ・その他関係人 |
基礎工事開始から 竣工するまで |
・建物その他の工作物新築届 ・建物等の配置図 ・住宅案内図 ・平面図 |
(引用:八王子市公式HP)
新築届提出までの流れを2パターン確認しておきましょう。
通常はハウスメーカーや工務店が出してくれる
通常、新築届はハウスメーカーや工務店、つまり家を建てる会社が工事に着工する前に出してくれます。
しかし、業者によっては新築届を出す手順が滞っていたり、後回しにされたりすることもあるかもしれません。
急ぎで工事をしたい場合は、早めに出してもらうようにお願いして、新築届が受理されたらすぐに知らせてくれるように伝えておくと、すぐに手続きを始めることができます。
急ぎで確実に行いたい場合は自分で提出もできる
メーカーに出してもらうこともできますが、新築届の提出を確実に行いたい場合は、建物の図面などの必要書類を揃えて居住地区の役所へ持っていけば、自分でも新築届の手続きができます。
ただし、図面等はハウスメーカーなどが作成するものなので、まずは工務店に相談して図面などの必要書類を貰ってから、提出するようにしましょう。
ちなみに、現在居住中の住所に新築を建て替える場合は、すでに住所が決まっているため新築届の提出は必要ありません。
NTTに住所登録の連絡をする
NTTの光回線を使うには、事前にNTTへ住所登録を行っておく必要があります。
新築住宅の住所は、NTTの「エリアマップ」にまだ登録されていないためです。
NTT側が利用者の住所を事前に把握しないと、どの電柱からどのように光ファイバー回線を引き込めば良いか分からず、光回線の敷設工事を行えません。
そのため、新築届が受理されて住所が決まった時点で、NTTへ「住所登録」の連絡を行いましょう。問い合わせ先は東日本と西日本共通で下記の通りです。
【NTT 問い合わせ窓口】
電話番号(固定電話):116
電話番号(固定電話以外):0120-116-000
受付時間:午前9時~午後5時(年末年始は休業)
住所登録をするときは単なる町名や番地だけではなく、周辺の状況まで細かく聞かれることがあります。例えば、隣に住んでいる人の名前など、新築の場所がピンポイントで分かるような情報です。
これは、光回線の工事を確実に行うためという理由があります。
前述したように、工事を行う際は光回線をどのように住宅へ引き込むかという、具体的な作業の設計が必要です。NTT側が納得できるように正確な情報を提供しましょう。
ちなみに、NTTのフレッツ光ではなくドコモ光やソフトバンクなどの光コラボを契約する場合でも、住所登録は必要となるため、光回線を引くならとりあえずNTTに連絡を入れておくのが無難です。
工事日を決定し、工事をしてもらう
NTTへの住所登録が完了したら、実際に光回線を契約することができるようになります。契約したい光回線を、公式サイトなどを通じて申し込んで工事日を決定しましょう。
工事日当日は立ち合いが必要なので、都合の良い日程を指定するようにしてください。
なお、光回線工事の内容については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連:光回線の工事内容って?マンションと戸建てで工事の流れや料金、開通までの期間を丁寧に解説

電気工事の終了後に工事日がくるようにする
光回線の工事を行うときは、完了後に工事担当者が実際に必要な機器を繋いで、回線がきちんと通っているかどうかのチェックをします。
この際に電気が通っていないと工事を完了できないため、工務店やハウスメーカーなどに電気工事の予定日を聞いておき、電気工事が終わる頃合いを見計らって光回線の工事日を決めると良いでしょう。
もし電気が通っていなければ後日最終確認になる
工事日の調整がうまくいかず、工事日に電気が通っていない場合は、基本的な工事をすべて完了させてからいったん保留状態となるか、電気工事が終わるまで工事を延期するかです。
最終確認は、電気が通ったのち行われます。
新築で光回線を使うためにはいつから準備が必要なのか
新築で光回線を使用するためには、手続きを始めるタイミングに注意が必要です。
- できるだけ3か月前までに準備を始めると良い
- 回線を継続利用する場合は早めの移転手続きが必要
光回線は早めに手続きを行えばそれだけスムーズな開通が可能なので、それぞれの重要なポイントを確認しておきましょう。
遅くても1か月前まで、できるだけ2ヶ月から3か月前までに準備を始める
光回線の開通手続きは、申し込んだからといってすぐに完了するわけではありません。申し込んでから実際に工事が完了するまで、最低でも1か月は掛かると考えておきましょう。
新築の場合は前述した住所登録も必要になるなど、NTTの方でも色々と準備が必要です。
そのため既定の住所で通常どおり契約する場合よりも、工事に入るまで手続きに時間が掛かりますし、特に3月~5月などの引っ越しシーズンはNTTにとっての繁忙期。
1か月前の申し込みでは遅いこともあるので、時期を踏まえたうえで申し込みをしましょう。
どれだけ遅くても1か月前、できれば2か月から3か月前までには、光回線の申し込み手続きを始めることをおすすめします。
契約中の回線を引越し先でも使う時は1か月前までに移転手続きを
新築に光回線を引き込むときでも、現在契約している回線をそのまま継続利用する場合は、「移転手続き」となるので新規契約は必要ありません。
契約中の光回線の移転手続きの手順は、新規契約をする場合とは異なるので注意が必要です。
なお、NTTの東日本や西日本といったエリア自体が変わる場合など、引っ越し先によっては移転手続きができないこともあるため、公式サイトをチェックしてみましょう。
移転手続きはWEBの専用フォームもしくは電話から申し込みを
契約中の回線の公式サイトには、移転申し込みをする専用のフォームがあります。フォームに必要事項を記入して送信すると、光回線の移転手続きを行うことが可能です。
なお、光回線のカスタマーセンターに連絡して移転手続きを行うこともできるので、いろいろ質問したい場合は電話の方が良いでしょう。
工事費以外の諸費用が掛かる点には注意
また、工事費だけではなく他の手数料も掛かるので注意が必要です。
例えば、現在利用中の電話番号をそのまま使う場合や、光テレビなどを引き続き利用したい場合などは、別途手数料が掛かることがあります。
プロバイダに変更がないかも確認しておく
移転手続きを行う際はプロバイダにも注意が必要です。実はプロバイダにも光回線と同じように「対応エリア」があり、引っ越し先で同じプロバイダを使えるとは限りません。
その場合はプロバイダの解約が必要になります。プロバイダによっては違約金が発生することもあるので、条件等を確認しておきましょう。
関連:プロバイダを乗り換える方法は?プロバイダの乗換や転用は違約金に注意して

ネット回線線工事に向けて確認しておきたいこと
光回線の工事日が決まったら、後は工事当日を待つだけです。しかし、次の3つの点についても意識しておくと、さらにスムーズな開通ができるようになります。
- テレビの種類をあらかじめ検討しておく
- 壁に穴を空ける工事を行うことはまずない
- 光コンセントやWiFiルーターの設置場所を考える
いずれも開通時に不安を感じやすいこと、もしくは見落としてしまいやすいことなので、それぞれのポイントについて確認しておきましょう。
テレビはアンテナ?それとも光テレビ?
新築の家はテレビの回線が引かれていないため、テレビを見ることはできません。そのため、生活するためにはテレビの契約が別途必要です。
しかし、テレビといっても大きく分けて2種類のものがあります。「アンテナテレビ」と「光テレビ」です。
アンテナテレビ | 光テレビ | |
天候 | 風雨の影響を 受けやすい |
左右されない |
景観 | 屋根やベランダに アンテナを設置 |
問題なし |
設置 工事費用 |
かかる | 場合によっては 無料 |
月額料金 | かからない | 毎月掛かる 別途レンタル代等 |
チャンネル数 | 少なめ | 多い |
アンテナテレビは初期費用が掛かる他、天候によっては映像が乱れたり、アンテナが壊れてしまったりすることがあり、いろいろと面倒です。
一方で、光テレビは月額料金や必要機器のレンタルが割高なため、長期的に考えると光テレビの方が高くなります。
いずれの場合でも、テレビの設置数や設置場所によって配線なども変わってくるため、テレビサービスについても早めに考えておく方が、後で慌てて決めなくてもいいので安心です。
関連:ひかりTVって何ができる?何が見れる?料金やチューナー、他のテレビサービスとの違いを解説

光ケーブルを引き込むのに穴を空けるようなケースは稀!
新築物件で光回線を契約するときに気になるのが、光回線の引き込み工事のときに生じると言われる「壁への穴あけ」ではないでしょうか。
せっかく綺麗な家が完成したのに、いきなり壁に穴をあけるのは嫌ですよね。
しかし、光回線の工事で壁に穴を空けるようなケースは、むしろ珍しいので、そこまで心配する必要はありません。
ただし、住宅に全く手を加えないわけではないので注意が必要です。当日にどのような工事が行われるのか、概要を確認しておきましょう。
戸建て住宅への光回線敷設工事は「引き込み」「屋内配線」「回線終端装置の設置」「パソコンへの配線」という4つの手順で行われます。
(引用:NTT東日本公式)
問題となるのが、回線の引き込みと屋内配線の部分です。
最初に行われるのが、電話回線のように電柱から住宅の外壁へ向けて、光回線を引き込む工事。その際に、外壁に配線を固定する金具を取り付ける場合があります。
次に行うのが、外壁まで引き込んだ光ファイバーケーブルを宅内へ引き込む工事。このときに心配になるのが壁への穴開けですが、基本的には電話用配管などを利用します。
こういった既存の配管を使うのが難しい場合は、エアコンダクトを利用することで、壁に穴を空けずに工事を行うことが可能です。
(引用:NTT東日本公式)
ただし、稀なケースではありますがこういった方法での工事がどうしても行えない場合は、直径1cmくらいの穴を壁に空けないといけません。
壁に穴を空ける場合でも、工事担当者が勝手にやることはなく、必ず立ち会い人の同意を得てから行います。
絶対に無いとは言えませんが、ほとんどの場合傷つけずに設置することができるので、安心してくださいね。
光コンセントやWiFiルーターの設置個所を何となく決めておく
光回線の工事を行う前に、光コンセントやWiFiルーターの設置場所を何となくでもいいので決めておくと、工事をスムーズに行いやすくなります。
前述したように、光回線の屋内配線を行う際に「光コンセント」の設置が必要です。光コンセントとは、光ケーブルとONU(光回線終端装置)の中継地点のようなところ。
(引用:NTT東日本公式「光コンセント」)
屋外へ繋がっている光ケーブルは光コンセントに入り、光コンセントとONUを接続し、さらにONUをWiFiルーター、電話機などと接続するという形になります。
そのため、光コンセントの設置場所は意外と重要です。
位置が悪いと他の機器への接続が不便になってしまう可能性があります。
特にWiFiルーターの設置場所は、通信速度や安定性など、ネットの快適性を大きく左右します。
WiFiの電波は壁や家具など障害物の影響を受けやすく、ルーターの設置場所によっては各部屋までWiFiの電波が行き渡りません。
光コンセントの理想の設置場所は、PCや光電話などケーブルで接続する機器の近くや、家屋の中央に近いところです。
厳密なものではなくても構わないので、どこに光コンセントやWiFiルーターを設置するかについて、建築段階からイメージしておきたいですね。
新築におすすめの光回線は?
新築に光回線を引くにあたっておすすめの光回線をまとめました。
- So-net光プラス
- ドコモ光
- ソフトバンク光
- NURO光
NURO光以外はNTT回線を使った光コラボで、ほぼ全国的に申し込むことができます。いずれも携帯(キャリア)とのセット割があるので、通信費節約の面からもおすすめです。
一方、NURO光は速度が速い光回線で人気も高いですが、関東や東海、関西等の一部地域にエリアが限定されているため、申し込むことができない場合も。
光回線の契約先を考える時は、家を建てる場所周辺の住所を入力して、エリアが対応しているかどうかを一度調べるようにしましょう。
So-net光プラス
So-net光プラス | ||
基本料金 | 【マンション】 ~24ヶ月:2,728円 25ヶ月~:4,928円 |
【戸建て】 ~24ヶ月:3,828円 25ヶ月~:6,138円 |
工事費 | 割引で実質無料 | |
キャッシュ バック |
なし | |
セット割 (au) |
1台あたり 月550円~1,100円 |
|
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 |
キャッシュバックはないものの、月額料金が他社に比べてかなり安くなっているのがSo-net光プラス。
auスマホユーザーであればauひかり同様、スマホ代がプランによって550円から1,100円割引されます。
3年目以降は料金が高くなってしまうのがネックですが、キャッシュバックの貰い忘れといった心配もなく、総額で考えてもキャッシュバックをたくさん貰える他社と遜色ありません。
工事費が実質無料になるのもありがたいですね。
ドコモ光
ドコモ光 | ||
基本料金 | 【マンション】 月4,400円~ |
【戸建て】 月5,720円~ |
工事費 | 無料(※1) | |
キャッシュバック | 最大20,000円+dポイント2,000ポイント | |
セット割 (ドコモ) |
1台あたり最大月1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 |
※1:配線設備新設時は16,500円~
現在ドコモのスマホを使っている人は、ドコモ光一択。セット割によってスマホ代が1台あたり最大1,100円安くなるので、最もお得に利用することができます。
また、ドコモ光では24社のプロバイダから選ぶことができますが、最もおすすめなのは「GMOとくとくBB」です。キャッシュバックの額が最も高い上に貰えるタイミングが速いというのがその理由となっています。
ソフトバンク光
ソフトバンク光 | ||
基本料金 | 【マンション】 4,180円 |
【戸建て】 5,720円 |
工事費 | 24ヶ月分割引で実質無料(乗換時) | |
キャッシュバック | 新規 最大36,000円 転用・事業者変更 25,000円 |
|
セット割 (ソフトバンク) |
1台あたり最大月1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 全国 |
ソフトバンク光は申し込み時のキャッシュバックも多く、乗り換えの場合でも工事費は無料です。
それに、ソフトバンクのスマホユーザーであれば、セット割(最大1,100円)を受けることができるのもいいですね。
移転手続きでも工事費負担無料など、継続して利用するユーザーに優しい光回線と言えます。
NURO光
NURO光 | ||
基本料金 | 【マンション】 2,090円~2,750円 |
【戸建て】 5,217円 |
工事費 | 30ヶ月分割引で実質無料(乗換時) | |
キャッシュバック | 最大45,000円 | |
セット割 (ソフトバンク) |
1台あたり最大月1,100円 | |
IPv6対応 | ○ | |
エリア | 北海道、東京都、神奈川県、 埼玉県、千葉県、茨城県、 栃木県、群馬県、愛知県、 静岡県、岐阜県、三重県、 大阪府、兵庫県、京都府、 滋賀県、奈良県、福岡県、 佐賀県(一部地域除く) |
NURO光は、フレッツ光や光コラボに比べるとエリアが狭いものの、月額料金が他社に比べて安く、通信速度も速い(他のサービスが下り最大1Gbpsであるのに対し、NURO光は2Gbps)です。
ソフトバンクのスマホユーザーは、ソフトバンク光だけでなくNURO光でもセット割を適用することができます。
ただしエリアがまだ狭く、対応していないマンションが多い点や他サービスに比べて工事の関係で開通まで時間がかなりかかってしまう可能性があるという点には注意が必要。申し込み前に事前に確認するようにしてください。
まとめ|新築の工事と並行して光回線の手続きも進めよう
新築に光回線を引くための手続きや流れについて確認してきました。
ハウスメーカーによっては、光回線の説明や案内がほとんどされず、いざ入居という時点で光回線の問題に気付くという人もいるようです。
大容量のスマホプラン、ポケットWiFiやホームルーターなど、光回線を引かなくても通信できるような環境はあっても、データ容量制限や速度制限に悩まされるのはちょっとごめんですよね。
家族が増えるとなおさら、光回線は無くてはならないものになっていくので、新築工事が進んでいくのと並行して、光回線の手続きも進めていきましょう。