通信費を節約したいという人の味方「格安SIM」。
ドコモやauといったキャリアよりも月額料金が安いため、乗り換える人も増えています。
しかしスマホを安く使えるというのは何となくわかるけど、実際選ぶとなるとどうしたらいいのかよく分からないという人も多いようです。
そこで今回は「格安SIM」の選び方についてポイントや注意すべき点をまとめました。

格安SIMの選び方
格安SIMには数えきれないほどの運営会社(MVNO)があります。
そのため、やみくもに探していては、いつまでたってもどのSIMにするか決まりません。
特に初めて格安SIMを利用する場合は、何から手をつけていいか分かりにくいですよね。
自分に合った格安SIMを探すために、事前に決めておくことと、チェックすべきポイントについて解説していきます。
事前に決めておくといいこと
まずは以下の3つのポイントについて決めておきましょう。
- SIMの種類:通話SIMかデータSIMか
- 回線:docomo、au、Softbankからいずれか
- 通信容量:月にどれだけネットを使うか
それぞれ詳しく説明していきます。
【種類】通話SIMとデータSIMがある
格安SIMのプランは通話機能の有無によって分けられます。
- 通話SIM:データ通信(ネット)+音声通話(電話)が可能
- データSIM:データ通信(ネット)のみ
「音声通話」のできる格安SIMは090、080、070で始まる電話番号が与えられ「電話番号での通話」が可能となります。
現在使っているスマホから電話番号を引き継いで乗り換えるという場合には、基本的に通話SIMが必要です。
けれど中には「LINEでしか話さないから電話番号はいらない」「タブレットや二台目のスマホだから通話はしない」という人もいるでしょう。
そのような場合は「データ通信のみ」の格安SIMを選ぶのがおすすめです。
「データ通信のみ」の格安SIMは050で始まる番号が与えられます。しかしこの番号では通常の通話はできません。
LINE通話やIP電話などは使用することができますが、緊急通報である110や119も使用できないのでその点は注意が必要です。
その分500~1,000円程度月額料金を安くすることができるので、タブレットやルーターに入れて使用したり、スマホを2台持ちする場合にちょうどいいでしょう。
通話SIM | データSIM | |
080、090 での通話 |
〇 | × |
050での通話 (IP電話) |
〇 | 〇 |
LINEでの 通話 |
〇 | 〇 |
ネット | 〇 | 〇 |
【回線】docomo、au、Softbankの3種類
格安SIMはそれぞれ使用できる回線がdocomo、au、Softbankの3種類あります。
もし今まで使用していたスマホをそのまま利用するのであれば、どの回線でSIMを契約をするかあらかじめ決めておいた方がいいでしょう。
というのもキャリアで購入したスマホには、そのキャリアの回線しか使えないようにロックがかかっています(=SIMロック)。
ロックは外すこともできますが、今使っている回線に対応したMVNOを選ぶのが面倒が少なくて済みます。
MVNOによっては1種類の回線しか選べないものや、3種類すべてから選択できるもの、回線ごと料金が異なるものがあるので、自分の使用するスマホに合わせて対応するMVNOを絞ることが可能です。
ただしスマホとSIMをセットで購入するつもりの場合や、SIMフリーのスマホを利用する場合、SIMのロックを解除する場合は、基本的にどの回線でも使うことができるので、必ずしも回線を先に決める必要はありません。(参考:SIMフリーとSIMロック解除)
【通信容量】月に何ギガ使うか調べておこう
格安SIMは容量ごとに細かくプランが分かれているものが多いです。
何も分からずとりあえず安いの、と1GBで契約してしまったら全然容量が足りずにすぐ通信制限になり、使い物にならなくなってしまうことも。
スマホを使ったことがある場合は、利用明細などで普段どれくらいの通信量を使っているのか確認ができます。
スマホを初めて使う、通信量をきちんと見直したいという場合には、どんな用途で使うかを考えるのがいいでしょう。
【1GBでできること】
LINEトーク | 約50万回 | 約1時間 | |
LINE音声通話 | 約50時間 | 約1時間 | |
LINEビデオ通話 | 約4時間 | Youtube(低) | 約8時間 |
約2時間 | Youtube(標準) | 約3時間 |
たとえば毎日Twitterを30分程度使用する場合は、8GB程度は必要だと決めておきます。
一方LINEのメッセージでしかスマホを使わないという場合は、1GBでも50万回もやりとりができるためさらに小さな容量でも十分でしょう。
使い方による通信量の目安はだいたい以下の通り。
- 0.5~3GB:LINEなどのメッセージや通話/ニュースや地図の検索などがメイン
- 4~10GB:テキストメインのSNS(Twitterなど)、音楽ストリーミングサービスを使う
- 10GB以上:画像メインのSNS(Instagramなど)、動画を見る
1GBごとに何ができるか詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

1GB(1ギガ)って何ができるの?動画やSNS、音楽、ゲームの通信量がどれくらいか目安を調査!
格安SIMを選ぶポイント
SIMの種類や容量を事前に決めたら、次にどのMVNOで契約するかを考えていきましょう。
決めるときに注目するポイントは、以下の通りです。
- 料金
- 回線速度/安定性
- プラン/オプション
- サービス/信頼性
【料金】月額料金のほかにも、初月料金や手数料を確認
月額料金はもちろんチェックしておきたいポイント。
事前に契約する容量やSIMの種類を決めておけば、各MVNOのプランのうち該当する容量のプランだけを比較できます。
容量ごとの料金の比較は以下の記事から確認してください。

初月の料金は、無料になるもの、日割りになるもの、ならないもの、など種類があります。
そのうち日割りにならないものは、月末に契約すると1カ月分の料金がかかり損になるため、契約のタイミングには気を付けなければなりません。
月額料金のほかにも、格安SIMを契約する際には初回の事務手数料やSIM発行手数料などが必要です。
MVNOによっては手数料が割引になることもあるので、初期費用を抑えたい場合にはそういった割引にも着目しましょう。
【回線速度/安定性】速さはMVNOによって異なるので要注意
格安SIMでは料金と同じくらい速度が大切です。
常に快適に通信できるキャリアとは異なり、格安SIM事業者(MVNO)の使う回線の大半はキャリア(MNO)からのレンタル。
そのため、利用者が少ない時間帯は、回線が混みあうこともなくスムーズに使えますが、お昼時などのネットを使う人が多くなる時間帯は、下の図のように回線が混雑し通信が極端に遅くなることがあります。
回線を借り受けるにも費用がかかるので、低価格の料金で提供される格安SIMは、いついかなる時も快適な速度での通信を可能とさせるほど、回線に余裕を持たせることができません。
価格を下げるあまりきちんと回線の整備をできていなかったり、ユーザーを取り込みすぎて回線の増強が間に合わなかったりということも。
一方で同じ格安SIMでも、きちんと回線を増強し、ストレスにならない程度の速度を維持できているものもあります。
大手格安SIMの速度を実際にはかったり、公式で発表されている実行速度や口コミをまとめた結果、速さの評価は以下のようになりました。
速い | Y!mobile、UQモバイル、楽天モバイル(UNLIMIT) OCNモバイルONE(新コース)、BIGLOBEモバイル |
そこそこ速い | LINKS MATE、IIJmio |
遅いことがある | mineo、nuroモバイル |
※タイプD=docomo回線、タイプA=au回線、タイプS=Softbank回線
中には同じSIMでも回線によって速度が大きく異なるものもあります。
使用するエリアや時間帯によっても違うため一概には言えませんが、速度が出ないと動画や検索結果の読み込みが遅くなったり、止まったりしてしまうので、料金と並行して速度の評価も気にして選びましょう。

【プラン/オプション】MVNOごとの独自サービスでよりお得になることも
格安SIMには、それぞれプランやオプションなど独自のサービスがあります。
キャリアよりも基本料金の安い格安SIMですが、自分の使い方に合ったサービスを選ぶことで、通信費をさらに節約することが可能です。
各社のサービスのうち代表的なものは以下の通り。
対応SIM | ||
通話 | 通話無料 | 楽天モバイル |
かけ放題 | OCNモバイルONE | |
データ 通信 |
無制限 | 楽天モバイル |
低速 使い放題 (切替自由) |
OCNモバイルONE(200Kbs) IIJmio(200Kbs) mineo (200Kbps無料/500Kbps有料) |
|
容量無料追加 | mineo(1GBまで) | |
カウント フリー |
BIGLOBEモバイル(動画) OCNモバイルONE(音楽) |
|
プラン |
お試し プラン |
mineo(最大2カ月) nuroモバイル |
eSIM プラン※ |
楽天モバイル IIJmio |
|
通話のみ プラン |
IIJmio |
※eSIM:物理的なSIMを挿入するのではなく、端末に埋め込まれたチップにSIMのデータを読み込む新しいSIMの形のこと(参考eSIMとは)
このうち人気のあるオプションやプランを詳しく見ていきましょう。
通話をたくさんするなら通話オプションが必須
電話番号での通話をたくさんするなら、あらかじめ通話オプションを利用しておくのがおすすめです。
たとえばmineoでは「1回10分の電話かけ放題のオプション」を月935円で付けることができます。
10分の通話を月に5回以上するのであれば、オプションを利用した方がお得です。
格安SIMの通話オプションは大きく分けて3種類あります。
- かけ放題(無制限)
- かけ放題(時間制限あり)
- 定額制
格安SIMでは無制限のかけ放題は少なく、たいてい1回につき10分までの通話が無料など時間制限があるものが多いです。
そのため基本的に長電話をするという人は、Y!mobileや楽天モバイルのような完全無制限のかけ放題オプションがあるSIMがおすすめ。
また格安SIMでは、独自のアプリを通して通話することで、通話料を割引してくれるサービスを行っているところも多くあります。
オプションをつけるほどではないけれど、通話料は安い方がいいという場合は、そういったアプリの有無も判断基準に加えるといいでしょう。

ネットをたくさん使うなら、特定のサービスの通信量をカウントしないカウントフリーがおすすめ
カウントフリーとは、特定のアプリやサービスを使うデータ通信量をカウントしないシステムのこと。ゼロレーティングやデータフリーとも呼ばれています。
通常スマホを契約している場合、月に10GBなどの制限が設けられていることがほとんどですが、カウントフリーのサービス内であれば、この上限に関係なく通信が可能です。
【通常通り使用すると】
【カウントフリーに登録すると】
(画像引用:DMMモバイル公式サイト)
カウントフリーは対象のプランに契約するか、別途月額料金を支払いオプションをつけることでサービスを受けられます。
各キャリアや格安SIM事業者(MVNO)によってカウントフリーとなるアプリが異なるため、自分のよく使うサービスが対象になっているものを選ぶのがいいでしょう。

家族で使う、複数枚使う場合はシェアプランやパケットギフトを活用しよう
たとえば家族全員がスマホを持っている場合、通常であればそれぞれが使う容量に合わせてプランを選びますよね。
しかし、格安SIMの「シェアプラン」では、ひとつの主契約の容量を複数のSIMカードで共有します。
【シェアSIM使用例】
(画像引用:OCNモバイルONE)
たとえば月にスマホで4GB、タブレットで2GB使用する場合、それぞれ単体でSIMを契約するよりも、6GBのプランを契約し、SIMを1枚追加して通信量を分け合った方が、通信費を抑えられることが多いです。
また、余った容量を家族に分けることのできる「パケットギフト」のサービスも便利。
中でもmineoでは家族以外の友達などからも、mineoユーザー同士であればパケットを分け合うことができます。

【サービス】運営会社の信頼性も見ておこう
MVNOの中には「え、この会社もSIMを販売しているの?」というような意外な企業もあります。
WiMAX回線を持つUQコミュニケーションズを母体としたUQmobileのようなケースはともかく、イオンモバイルなどSIMやインターネット回線についてのノウハウがあるのか不安に思ってしまう企業も多いです。
そういった一見インターネットの知識がないMVNOは、ノウハウを持つ他のMVNO(=MVNE)に情報を提供して貰ったり、設備を整備してもらいながら運営をしています。
たとえばIIJ(IIJmio)やNTTコミュニケーションズ(OCNモバイルONE)は多くのMVNOから信頼を得ている大手。
イオンモバイルはIIJmioを運営するIIJにそれぞれ支援を受けています。
MVNOを裏で支えるMVNEによっては通信のクオリティに差が出ることもあるため、格安SIMを考える上で一つの指標にしてみるのもいいでしょう。
格安SIMを契約する前に確認するべき注意点
格安SIMでは契約し、いざ使おうと思ったら、スマホが反応しない、思っていた機能が使えないなどのトラブルがあることも。
失敗しないために、SIMを選んだら以下の点をあらかじめ確認しておきましょう。
- SIMのサイズ
- 動作確認端末
- SMSの有無
- 契約期間
使う端末によってはSIMが使えないこともある
端末を入手する方法は人によってさまざまですが、SIMを契約する前にどの端末で使うのかは決めておくのがおすすめです。
- 端末とSIMをセットで買う
- 現在使っている端末を使う
- SIMとは別に新たに購入する
このうちSIMと端末をセットで購入する場合は、選んだ端末に合ったSIMが自動的に契約できるので特に問題ありません。
一方端末を自分で用意する場合は、以下の点を確認しなければならないので注意しましょう。
SIMのサイズも調べておこう
SIMのサイズは全部で3種類あり、大きい順に「標準SIM」、「microSIM」、「nanoSIM」といいます。
SIMカードのサイズは標準規格化されているため、docomoとauで、あるいは格安とそうでないのとでサイズが違ったりということはなく、どの端末を使うとしてもこの3種類のどれかということになります。
現在は最も小さいnanoSIMが主流です。
大きさが違うと端末に入らなかったりするので、SIM契約前に購入予定の端末や現在使用している端末のSIMサイズを調べておく必要があります。
SIMサイズは「端末名+メーカー名」で検索するとすぐに調べられます。iPhoneであれば、iPhone5以降の端末はすべてnanoSIMです。
万が一SIMサイズを間違えて契約してしまっても、ほとんどのMVNOでは3,300円前後の手数料を払えばサイズ変更をしてくれます。が、無駄な出費を抑えるためにもあらかじめ確認はしておきましょう。
動作確認済端末かどうかを確認
SIMロックが掛かっているわけではない格安SIMでも、使用する端末の種類によってはまれにきちんと動作しないことがあります。
たとえば楽天モバイル(UNLIMITプラン)ではiPhoneの一部機能を使うことができません。
そのため各格安SIMでは、たいてい「動作確認済端末」を一覧にして公開しています。
(画像引用:IIJmio公式サイト)
動作確認済端末は「格安SIM名」+「動作確認」と検索し、自分の使いたい端末を入力すると確認できます。
ここで使うことができないとされているものや、一覧に記載されていないものは、使用できないか動作を確認されていないため、MVNOか端末を変えた方がいいでしょう。
データSIMはSMSの有無が選べるものも
「データ通信のみ」のSIMを選んだ場合、MVNOによってはSMSの有無も選ぶことができます。
SMSは「ショートメッセージサービス」の略で、70字程度の短いメッセージを送ることのできるサービス。
メッセージでを送るだけならLINEで十分ですが、SMSには認証機能がついています。
この機能を使うと簡単に個人を認証することができ、SNSなどの登録がスムーズに済みます。
SMSありとなしとでは月額料金に100~200円程度の差があるので、不要の場合は外しておくのがいいでしょう。
ちなみに通話SIMには要不要問わずSMS機能はついてくるため、選ぶことはできません。
通話SIMには契約期間(最低利用期間)があるものも
格安SIMの中には、契約期間が定められているものがあります。
特に通話SIMは1年や半年間の最低利用期間があるものが多いです。
契約期間内に解約をすると違約金がかかってしまうため、もし数カ月などの短期で契約しようとしている場合は、契約期間に縛りの無い格安SIMかどうかを確認しておいた方がいいでしょう。
【結論】料金や速度をチェックして、自分にぴったりの格安SIMを見つけよう!
格安SIMにはたくさんの種類がありますが、自分に必要な容量や回線などをあらかじめ決めておけば、案外簡単に選択肢を絞ることができます。
そのうち適切な速度が出るSIMもそう多くはありません。
月額料金の安さももちろん重要ですが、オプションや独自のプランをうまく利用することで、さらに節約することが可能です。
ぴったりの格安SIMで、通信費を今よりもっとお得にしましょう。
