ビジネスなどの都合で頻繁に引っ越しをする「転勤族」の人は、ネット回線で困ってしまうことが多いです。
引っ越しのたびに光回線の解約と契約を繰り返さないといけませんし、その際の違約金や工事費などの負担も決して少なくありません。
しかし、光回線の移転手続きを利用したり、最初からインターネットが完備されている賃貸物件を選んだりするなどの対策を取ることで、転勤族でもネットを使いやすくなります。
本記事では、転勤族の人が光回線とどのように付き合っていけば良いのか、問題点や対策法などと合わせて詳しく見ていきましょう。
おすすめの光回線をすぐに知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

引越しが多い転勤族は光回線の契約をしないほうがいいの?
引っ越しすることが多い転勤族の人は、光回線について次の3つの点で困ってしまうことがあります。
- 引越しのたびに光回線の工事が必要
- 引っ越し前後でネットを使えない期間が生じる
- 途中解約による違約金の負担が大きい
それぞれの問題点について、具体的にどんなところが困るのかを見ていきましょう。
問題1|引越しのたびに回線の引き込みや機器の設置をしないといけない
転勤族の人は、引っ越しのたびに光回線の引き込み工事や、モデムやルーターなど必要機器の設置をしないといけません。
光回線を新たに引き込む際の工事費は、戸建てタイプとマンションタイプそれぞれの場合で異なり、工事担当者が自宅に来て工事を行う派遣工事の場合は高額になります。
光回線として代表的な「フレッツ光」の光回線の工事費について、条件ごとに見ていきましょう。
配線設備を新設する場合、戸建てタイプは19,800円、マンションタイプは16,500円です。以前の配線を再利用する場合は、いずれの住宅タイプでも8,360円になります。
工事担当者を派遣せず、回線事業者側の工事だけで済む場合は2,200円ですが、こういったケースは他と比べると少ないです。
ほとんどの場合は、配線自体を新たに引き込むか、前の住人が残した設備を再利用する派遣工事になるので、最低でも8,000円は必要になります。
転勤のたびにこういった費用が必要になるのは、大きな負担になってしまうでしょう。しかも、モデムやルーターなどの設置をするのも何かと手間です。
問題2|引越しの前後でネットが使えない空白期間が生まれかねない
引っ越しの前後でネットが使えない「空白期間」が生じてしまう可能性があるのも、転勤族の大きな悩みの種です。
数日間ネットが使えないくらいなら、スマホで代用できるから問題ないと思うかもしれませんが、ほとんどの場合は数日では済みません。数週間くらい掛かることもあります。
人事異動が多く、年度の変わり目であるため、3月~5月は光回線の「繁忙期」です。
申し込んでも、すぐに工事してもらえるわけではなく、引っ越しの多い時期と被ると、1か月どころか2ヶ月先などかなり先まで工事日が延びます。
ネットが使えない期間は自宅のWiFiも使えないので、スマホの通信量があっという間に膨らんで速度制限なんてことも珍しくありません。
あまり使わない人であればそこまで困りませんが、WiFiのある生活に慣れてしまった人からするとやっぱり不便です。
契約期間に縛りがないChat WiFi(50GB月2,600円)や縛りなしWiFi(20GB月3,300円)などのポケットWiFiを利用して、ネット環境を確保しましょう。
問題3|途中解約による違約金負担が重い
移転先の住宅で使用できる回線が決まっていたり、無料で光回線を使えたりするなどの理由から、現在契約中の光回線を解約しないといけない場合があります。
このときに大きな問題になるのが、途中解約で発生する「違約金」です。ほとんどの光回線には、最低利用期間や契約期間というものが設けられています。
契約の更新月など特定の期間以外で解約すると、多くの光回線では1万円から2万円の違約金が必要です。
光回線によっては3万円以上も請求されることがあります。
さらに、賃貸住宅の管理者から「原状回復」を求められた場合、光回線の回線設備自体を撤去してから引っ越さないといけません。
フレッツ光や光コラボの場合は心配しなくても大丈夫ですが、auひかり(詳細)などNTT以外の回線を引き込んでいる場合は要注意。
例えば、auひかりでは戸建てタイプの回線を撤去する場合、違約金とは別に31,680円もの費用が掛かります。
また、光回線のほとんどは光回線の引き込み工事費を分割払いで支払うことになっていますが、支払いが終わっていない場合、解約時に残債分を一括請求されます。
これは工事費が実質無料になるキャンペーンを適用している場合でも同様で、解約時に思わぬ出費に繋がってしまうことがあるので注意してください。
ちょっと面倒だが、継続するなら移転手続きで問題なし
引っ越しのたびに光回線を新規契約していると、そのたびに工事費や違約金が掛かって面倒です。
そのため、転勤族の人は光回線の「移転」手続き、もしくはそれに近いサポートを利用すれば、できるだけ余分な出費を抑えて転勤先でも光回線を使えるようになります。
主要な光回線を参考に、どのような手続きのケースがあるのかを確認しておきましょう。
- NURO光は引越しによる違約金は不要
- ビッグローブ光やソフトバンク光は移転時の工事費無料
- ドコモ光は移転時も1万円前後の費用が掛かる
NURO光の場合は引越しによる違約金はなし!
(引用:NURO光)
NURO光では移転手続が無く、引っ越しの場合は「解約」という形を取ります。
ただ、「ご利用者向けお引越し特典」制度を利用すれば、違約金や事務契約手数料などは掛かりません。
金額にすると最低でも57,750円以上が無料になります。
NURO光はNTT回線に比べると使えるエリアが限定されやすいですが、エリア内(関東や東海、関西、九州の一部、北海道の一部)を中心に異動のある人でも使いやすいですね。
※引っ越し先がエリア外の場合は違約金や工事費残債の支払いが必要
ただ、引っ越し先の回線工事は必要になるため、使えるまで少し時間が掛かってしまう点には注意が必要です。
ビッグローブ光やソフトバンク光は引越しの時の工事費が無料
ビッグローブ光やソフトバンク光では、引っ越し時の工事費が無料になる制度が用意されています。
ビッグローブ光は2年プランの場合工事費無料にならない
ビッグローブ光を「3年プラン」で契約している場合は、光回線の移転手続きを行うことで、ビッグローブ光を解約せずに引っ越し先でも継続利用できます。
引っ越し先で工事を行う場合も工事費は発生しませんし、転居時に解約の必要がないため違約金も掛かりません。
ただし、このサービスは3年プラン限定のものであり、2年プランでは利用できないので注意が必要です。
会員様限定SoftBank光お引っ越し工事無料キャンペーン
ソフトバンク光では、「会員様限定SoftBank光お引っ越し工事無料」というキャンペーンがあり、引っ越し時の工事費が無料になります。違約金も特に掛かりません。
なお、現在の工事費の残債分が残っている場合は免除されるわけではないため、引っ越し後も支払い続けることになります。
また、ビッグローブ光とソフトバンク光はいずれも光コラボなので、NTTの東日本と西日本エリアをまたいで引っ越すと、3,300円前後の事務手数料が掛かるので注意が必要です。
ドコモ光は移転手続きをするにも1万円前後の費用が掛かる
ドコモ光でも引っ越し時に移転手続き自体はできますが、ビッグローブ光やソフトバンク光とは違って10,000円前後の費用が掛かることに注意が必要です。
NTTの東日本と西日本をまたいで引っ越す場合は、工事費が通常どおり戸建てタイプ19,800円、マンションタイプで16,500円掛かってしまうので要注意。
エリアをまたがない場合は10,000円前後で済みますが、それでも工事費が免除となる他社と比べると、少し負担が大きいように感じてしまいますよね。
なお、ドコモのスマホとセット契約をしている場合に限り、WEBサイトの専用フォームから申し込めば、dポイントが5,000pt還元されるので、実質5,000円で移転手続きができます。
なお、ドコモ光では移転先の光回線は2週間ほどあれば開通することが多く、空白期間はそれほど長くはならないでしょう。
転勤族でも光回線を契約したほうがいい人って?
このように、転勤族が光回線を使うと、解約や契約、移転手続き、工事、手数料の支払いなど面倒なことばかり。最初から光回線を契約せずに、ポケットWiFiなどを使えばいいという意見もあります。
回線工事は不要ですし、例えばどこよりもWiFiなら100GBで月3,400円、Mugen WiFiも月3,718円で10,000円キャッシュバックまでもらうことも可能です。
しかし、ネットの使用目的によっては、ポケットWiFiの通信速度や容量が不十分で、ストレスになりかねません。
特に、オンラインゲームをよくする人や、テレワークでビデオ会議などをすることが多い人は、光回線の契約が必要不可欠と言えます。
ここでは、それぞれに該当する人がなぜ光回線が必要なのか、また回線の選定時に考慮すべきポイントについて確認しておきましょう。
オンラインゲームをよくする人
オンラインゲームをプレイすることが多い人は、光回線が不可欠だといっても過言ではありません。
シューティングやアクション要素の強いゲームでは、わずかな「ラグ」もプレイに大きな支障が出てしまいます。
ラグとは通信の遅延のことです。ラグが大きいと自分の操作がすぐに反映されなかったり、相手のキャラクターが瞬間移動したりすることがあります。
ラグを防ぐためには、通信速度やping値(応答速度)、パケットロス(データの消失)の少なさといった要素が極めて重要で、これらを改善するためにはポケットWiFiでは力不足です。
ちなみに、ラグの悪影響を最も受けやすい格闘ゲームでは、ping値の理想的は10ms以下、最悪でも30ms以下でないと快適なプレイはできないと言われています。
ホームルーターやポケットWiFiの場合は、ping値が50ms~100msを超えることも多く、挙動に不満を感じる可能性が高いです。
eスポーツに参戦するほどになると、5Gbpsや10Gbpsのプランを検討してもいいくらいでしょう。
オンラインゲームのジャンルにもよりますが、ラグが問題になりやすいゲームを頻繁にプレイする場合は、できるだけ光回線の利用をおすすめします。
在宅勤務(テレワーク)でビデオ会議などが多い人
テレワークの普及によってビデオ会議をすることが増えた人も、ぜひ光回線の利用を検討しておきましょう。
なぜなら、ポケットWiFiでは月間の通信容量が設定されているため、通信量が不足してしまう可能性があるからです。
ギガ(通信量)が足りなくなると通信制限が掛けられて低速通信になってしまいますし、短期間での容量制限に引っ掛かって通信が遅くなることもあります。
ちなみに、1時間あたりの通信量は、Skypeのビデオ通話では240MB、Zoomの場合は700MB前後。
Zoomで1回2時間のビデオ会議を週3回行う場合は、それだけで毎月20GB近い通信量が必要です。
インターネットはビデオ通話だけではなく他のことにも使いますし、通信量不足に陥る可能性は十分にあります。
こういった理由から、在宅勤務をすることが多い人や、これから導入されることが想定される場合は、できるだけ光回線を選んでおいた方が良いでしょう。
一番楽なのはインターネット無料のマンションやアパートを選ぶこと
転勤族の人がインターネットを使う最も楽な方法は、インターネット環境が最初から完備されていて、ネットを無料で使えるマンションやアパートを選ぶことです。
こうすると、引っ越すたびに光回線の契約で悩まされることも、月額料金や違約金、撤去費用などの心配をすることもありません。
ただし、こうした賃貸物件では他の部屋とも回線を共有しているため、利用者が多くなる夜間や休日になると、通信速度が低下して快適に使えないこともある点に注意が必要です。
ネット完備の物件では、基本的に回線が気に入らなくても、後から光回線を乗り換えるということができないこともあります。
そのため、趣味や仕事をするうえで必要となる通信速度や安定性を考えて、光回線を慎重に選ぶことが重要です。
快適にネットを使いたいという人は、手間をかけてでも自分で光回線を引く方が良いですし、速度はあまり気にしない人はネット完備の物件を選ぶようにすると良いでしょう。
関連:アパートでインターネット契約は必要?インターネット無料・完備・対応の違いとおすすめの接続方法

まとめ|転勤族で光回線を使うなら移転や費用が柔軟なものを選ぶ
仕事の都合などで引っ越しが頻繁にある転勤族の人は、手間や費用などの点から光回線を契約しにくいことがあります。
しかし、代替手段としてホームルーターやポケットWiFiを選んだ場合でも、引っ越し先がエリア外で使えなくなる可能性もありますし、速度も光回線には勝てない部分があるのも難点です。
それよりも、最初から引っ越しのときに余計な費用の掛からない光回線を選んで、ネットを快適に使えるようにする方が良いでしょう。
今回紹介したビッグローブ光やソフトバンク光は光コラボなので全国的に対応していますし、移転時の費用も最小限に抑えられます。
速度や通信品質にこだわりたい場合は、NURO光の利用も検討してみると良いでしょう。ただし、エリア外の地域も多いので、異動がありそうな地域のエリアの確認はしておきたいですね。