外出先でも快適にインターネットを楽しむことができる「ポケットWiFi」。
とても便利な反面、「ポケットWiFiは繋がりにくい」そんなイメージがある人も少なくないようです。たしかに出かけた先で急に電波が繋がらなくなったら困ってしまいますよね。
通信障害かな?もしかして壊れた?と疑う前に、まずは原因を探り簡単にできる対処法を試してみましょう。
ポケットWiFiが繋がらない原因
ポケットWiFiが繋がらない原因は大きく分けて、ポケットWiFiに原因がある場合とスマホなどの通信機器側に問題がある場合とがあります。
【考えられる主な原因】
- サービスエリアの範囲外
- 障害物により電波が届かない
- 料金未払い
- 設定ミス
- SIMカードの接触不良
- 速度制限
- 故障
- 通信障害
- 回線の混雑
- 利用機器の故障
サービスエリアの範囲外
ポケットWiFiには通信ができるエリアとできないエリアがあります。この通信エリアから外れてしまうと携帯電話でいう「圏外」の状態になり、通信することができなくなってしまうのです。
通信エリアの範囲は使用する回線によって多少異なります。
各社あまり差がないように見えますが、Y!mobileの無制限で使用可能(アドバンスモード)なエリアはマップの青色の部分のみとなっているので注意が必要です。
ポケットWiFiの対応エリアは以下から簡単に調べることができます。
新しく購入を考えている場合や旅行などで遠出するときは、一度行動範囲がサービスエリア内かどうか確認するといいかもしれません。
現在ポケットWiFi普及に伴い、基地局はどんどん増設されています。今はまだエリア外でも、近いうちに対応することも十分考えられるでしょう。また対応までに時間はかかりますが、エリア拡大の要望も出すことができます。
また、WiMAXでは15日間無料でポケットWiFiをお試しできる「Try WiMAX」というサービスを行っています。日常的な使用感を試したいという方は利用してみるといいかもしれません。
障害物により電波が届かない
サービスエリア内にいるにも関わらず繋がらないときは、一時的に電波が届きにくい環境になっていることが考えられます。ポケットWiFiの性質上、キャリアやメーカーに関係なく屋内や地下は電波が届きにくいようです。
電波には「木やガラスは通り抜けられるが、金属やコンクリートでは反射する」という特性があります。
反射や通過を繰り返すごとに電波は弱くなっていくため、地下などのコンクリートに覆われた空間や、ビルの中心部など奥まった場所では電波が悪くなってしまうのです。
さらに電波の進み方には「周波数が高く波長が短いほど、速くて曲がりにくい」という特徴があります。
スマホなどで使用しているLTEの電波は700~900MHzの周波数帯域です。この周波数帯は電波が障害物を避けて進みやすいため「プラチナバンド」と呼ばれています。
しかしポケットWiFiの中でもWiMAX電波を使用したポケットWiFiは2.4GHzという他より高周波数の帯域。
そのためWiMAXでは通信速度がLTEより速い反面、コンクリートの建物や壁を回り込んで避けることができず、屋外であっても電波が遮断されてしまうことがあるのです。
これらの場合「窓の近くに移動する」「建物などの障害物から離れる」など少し場所を移すだけで、すぐにつながりやすくなることがよくあります。
またポケットWiFiに内蔵されているアンテナは、何かに覆われることで電波を感知する力が弱くなってしまうという特徴があります。カバンやポーチなどの中に入れている場合は一度取り出してみましょう。
WiMAXの人気機種W06では「高性能ハイモードアンテナ」が搭載され、電波の繋がりにくかった場所でも平均20%受信感度が向上しました。
古い機種を使い続けている場合は、これを機に最新機種に変更するのもいいかもしれません。
料金の未払い(支払い忘れ、クレジットカードで決済できていない)
ポケットWiFiの毎月の使用料をクレジットカード払いにしている方は多いかと思います。
その際注意したいのが引き落としされる銀行口座の残高不足や、クレジットカード自体が利用できなくなっているケースです。
ポケットWiFiの使用料が未払い状態になると利用停止の措置が取られます。
未払いから利用停止までの期間は会社によって異なります。一カ月ほどの猶予があり電話や手紙で未払いの連絡をくれる場合もあれば、未払いを確認した翌日にすぐ利用停止になるケースも存在するのです。
さらにそのまま放置すると強制解約になることもあります。
強制解約の場合、滞納料金や延滞金の他に契約解除による違約金や督促状代金などが請求されてしまうため気を付けましょう。
設定ミス(機内モードになっている、SSIDの設定ミスなど)
スマホやタブレットなどポケットWiFiの電波を受け取る通信機器の設定により、WiFiが使用できない状態になっている場合もあります。
「機内モード」などでモバイル通信をOFFにしていたり、WiFiの接続設定がOFFになっているとどんなに電波が強くても通信することはできません。
自分で設定したつもりはなくとも、いつの間にか設定が変わっていることもあります。特にiPhoneではコントロールセンターですぐに設定できてしまうため、変更した記憶がない場合も確認してみましょう。
また、ポケットWiFiの機種によってはSSIDが二種類あるものがあります。正しいSSIDが登録されていないと当然WiFiを使うことはできません。購入して初めて使用する方は間違ったIDを設定していないかチェックしましょう。SSIDはポケットWiFiの「情報」画面から確認することができます。
SIMカードが正しく挿入されていない(ぶつけた場合にずれたりしたのかも)
購入したばかりのものや強い衝撃を与えてしまった後などは、ポケットWiFiの中のSIMカードや電池パックがずれてしまっていることも考えられます。
SIMカードとはポケットWiFiの中に差し込まれている小さなICカードのことです。
使用している機種よって電池パックの下にあったり、電源ボタンの横にあったりします。
ぶつけたり落としたりした際にずれてしまうことがないとも言い切れないので、裏表があっているか確認し一度挿入しなおしてみましょう。
速度制限
ポケットWiFiでの通信を短期間に大量に行うと、一時的な通信制限がかかります。
これは電波に問題があるわけではなく、使い過ぎにより著しく通信速度が落ちてしまった状態です。
制限にかかるまでの上限は各社、各プランにより差があります。ここではWiMAXの「ギガ放題プラン」の場合を紹介します。
WiMAXの「ギガ放題プラン」は月間の通信容量に制限のないプランです。このプラン、月の使用量の総計は無制限なのですが、3日間で合計10GBという緩い制限があります。
ちなみにどれくらい使うと「3日で10GBを超える」のかというと
使用方法 | 目安通信量 | 10GBでの 使用可能量 |
1日当たりの 使用可能量 |
メール送受信 | 約500KB/1通 | 約62,700通 | 約20,900通 |
ニュースサイト閲覧 | 約300KB /1ページ |
約104,700 ページ |
約34,900 ページ |
音楽ダウンロード (4分) |
約4MB/1曲 | 約2,500曲 | 約4時間 |
Youtube 動画視聴(高画質) |
約12MB/1分 | 約13時間 | 約4時間 |
Youtube 動画視聴(標準画質) |
約3.5MB/1分 | 約47時間 | 約15時間 |
メールやニュースの閲覧だけでは10GBを超えることはなく、「高画質で長時間動画を見る」と制限にかかりやすいことがわかります。
動画を見る場合、標準画質での視聴は1日に約15時間可能なので、長時間見る傾向にある人はなるべく画質を低いものを選ぶといいでしょう。また、株のオンライントレードやオンラインゲーム、動画でのテレビ会議なども通信量が大きいといえます。
これを超え制限がかかった場合でもWiMAXでは1Mbpsの速度を保ってくれるため、SNSを見る、検索をする、標準画質で動画を見るといった一般的な使用に支障をきたすことはありません。さらにこの制限は「翌日の18時から深夜2時まで」のみという限定された時間帯のためあまり深く考える必要はないでしょう。
しかし、WiMAXでau 4G LTEの回線を利用できる「LTEオプション」を利用する場合は注意が必要です。このオプションは通常のWiMAXの電波に加え、通信可能エリアの広いLTEの電波に切り替え使用できる点が便利ですが、月間7GBまでと使用量が制限されています。
もしこの制限を超えてしまうと、通信容量に制限のないギガ放題プランに加入しているにも関わらず、WiMAX、au 4G LTEの両回線の通信速度が翌月まで最大128kbpsに制限されてしまい、ほとんど使い物にならない状態となってしまいます。この状態に陥った場合、極端に速度が落ちるため繋がらなくなったと錯覚するかもしれません。
WiMAX以外のポケットWiFiでも、プランで定められた上限以上の容量を使用してしまうと128kbpsの制限がかかります。一度制限がかかると「3日間で10GB」の通信制限の場合とは異なり、翌月まで制限が解除されることはないため注意しましょう。
WiFi機器の故障
いつも使っている場所なのに…という場合、ポケットWiFiが故障してしまっているかもしれません。
パッと見ただけではわからないことが多いので、取扱説明書を読んでも解決しなければ一度カスタマーセンターに相談したり、修理に出すしかないでしょう。
WiMAX取扱説明書/カスタマーセンター(https://www.uqwimax.jp/wimax/support/guide/manual_download/)
通信障害(たまに障害になっていることも)
頻度としては稀ですが、基地局で通信障害が起こっている場合もあります。
通信障害が起きた場合はUQ WiMAXの障害情報ページに対象エリアが記載されるためもしや…と思ったときに確認してみましょう。
この場合は自分ではどうすることもできないため、復旧を待つしかありません。
WiMAX障害情報(https://www.uqwimax.jp/information/maintenance/)
回線の混雑
周囲の人が同じように通信機器を使用している場合、基地局へのアクセスが集中し通信速度が遅くなってしまいます。
特に7時~9時の通勤時間帯、12時~13時の昼休み、18時以降から深夜にかけては利用する人が多い時間帯のため繋がりにくい傾向にあるようです。
人が多いイベントや混雑しているカフェなど近距離にいる人がいっせいに通信を行っている場所も同じことが言えます。
さらに電子レンジやBluetoothなどの近くで使用すると、電波同士が干渉し繋がりにくくなることがあります。電波を発する機器からは離れて使用しましょう。
利用機器の問題(携帯、PCなどに問題ないか)
ポケットWiFiに問題がなくても、スマホやPCの性能が古い場合や容量がいっぱいになってしまっている場合などには通信速度が遅くなってしまいます。
長時間使用している場合には履歴やキャッシュなど不要なデータを消したり、再起動したりしてみましょう。
ポケットWiFiが繋がらない時のチェックの流れ、対処法
ポケットWiFiが繋がらない原因について心当たりのあるものはありましたか。ここからは具体的な対処法についてご紹介します。
まずはポケットWiFiを再起動し、それでも改善しないときは大きく分けて以下の3点をチェックしてみましょう。
- 通信環境は適切か
- 利用している通信機器は適切か
- ポケットWiFiの状態は適切か
場所を変える、電波帯を変える(2.4GHz⇒5GHz)
まずは、電波を正しく拾える環境を整えましょう。
ポケットWiFiは数歩場所を移動しただけで電波環境が大きく変わることがあります。
屋外であれば高い建物から離れた場所へ、屋内であれば窓の近くは電波が届きやすいためできるだけ通信環境のよさそうな場所に移動してみてください。
また使用している周波数帯を環境に合わせて変更するのも有効な手段です。
電波はいろいろなところで飛び交っていますが、複数の電波がぶつかり合うと互いに干渉し通信が不安定になります。
しかし周波数帯が変わると、その干渉を受けることがなくなり通信しやすくなることがあるのです。
実はWiMAXのポケットWiFiは2.4GHzの周波数帯のほかに5GHzの帯域も切り替えて使用することができます。
それぞれの電波の特徴を見てみましょう。
メリット | デメリット | |
2.4GHz | 障害物に強い | 他の機器から干渉を受けやすい |
5GHz | 他の機器から干渉を受けにくい | 遮蔽物に弱い |
電子レンジなどは2.4GHzの電波を使用しているため、これらの機器の近くでは5GHzに設定を変更してみましょう。
WiMAXのポケットWiFiの初期設定では2.4GHzの周波数に設定されていますが、これは「設定」画面から簡単に切り替えることができます。
他のスマホ、PCで利用できないかをチェック
電波はあるはずなのに…というときは、手持ちの他のスマホ等で簡単な検索を試してみてください。
アプリやサイト自体のセキュリティ設定により接続できない場合もあるので、あくまで「インターネットにつながるかどうか」の確認をしましょう。
もし、他の機器では接続できる場合はポケットWiFiではなく通信機器に問題があります。「機内モード」がONになっていないか、WiFi設定がOFFになっていないかなどを確認してみましょう。
SIMのチェック、ポケットWifi機器の設定チェック、初めての利用ならSSIDもチェック
他の機器でも通信できなかった場合、ポケットWiFiの状態を確認してみましょう。
- 接続台数を減らす
- 自動接続設定を接続し直す
- SIMや電池パックを挿入し直す
ポケットWiFiには接続台数の上限が決められています。機種によって異なりますが平均で10台が限度のようです。この接続台数の上限を超えている場合はどれかの接続を切りましょう。
また初めて使用する場合は、SSIDの設定を間違えてしまっていることも考えられます。機種によっては一台のポケットWiFiに二つのSSIDが設定されているものもあるため、正しいSSIDが入力されているか確認しましょう。
ポケットWifi機器、利用機器の再起動
多くの電子機器は再起動することにより問題を改善できることがあります。
ソフトウェア上の問題も考えられるため、まずは一度試してみましょう。
障害情報を確認
周囲の人が同じようにつながりにくい状態になっているときは、使用エリアで通信障害が起きている可能性があります。通信障害の状況は以下より確認できます。
UQ WiMAX障害情報(https://www.uqwimax.jp/information/maintenance/)
しかし、公式の障害情報は反映されるのが遅い場合も多くあります。その場合、twitter等のSNSでチェックするといち早く情報を知ることができるかもしれません。
速度制限に引っかかっていないか、しっかり支払われているかを確認
電波状況、機器ともに問題ない場合、見落としがちなのが支払い忘れや使用量超過による利用制限です。
WiMAXではmy UQ WiMAXにログインすると、料金案内から簡単に現在の契約内容や利用通信量などを確認することができます。
UQ WiMAX通信料照会方法(https://www.uqwimax.jp/wimax/support/procedure/tsushinryo/)
速度制限の詳細については前述の「ポケットWiFiが繋がりにくい原因について」でご紹介した通りです。
ポケットWiFi機器の初期化
いろいろ確認したけど繋がらない、というときはポケットWiFiを初期化してみましょう。
触っている間に誤った設定になっている場合、一度リセットし設定をし直すと再びつながるようになることもあります。
初期化の方法は、設定画面から行うものや側面にある小さなボタンを押すものなど機種によって異なります。初期化した後は再度初期設定を行う必要があるため、説明書を見ながら進めるといいでしょう。
ここまで来たらほぼポケットWiFi機器の故障
すべて試しても電波状況がよくならない場合はもうお手上げです。自分で対処できる範疇を超えてしまっているため、カスタマーセンターに相談しましょう。
WiMAX取扱説明書/カスタマーセンター(https://www.uqwimax.jp/wimax/support/guide/manual_download/)
最後に
ここまでポケットWiFiが繋がりにくい場合の原因と対処法を紹介してきましたがいかがでしょうか。
ポケットWiFiの電波状況は通信環境に大きく影響を受けます。しかし電波を発する基地局もどんどん増設されているため、これからはさらに安定した通信が可能となるでしょう。
外出先でも快適なインターネットを楽しむために、ポケットWiFiの存在がこれからどんどん重要視されるのは間違いないようです。対処法をきちんと把握して、万が一のときに焦らないようにしたいですね。