マンションで光回線を使っていると思ってたいたけれど何だか速度が遅い…、それはもしかしたらVDSL方式かもしれません。
VDSLとは電話回線を使った接続方式で、光回線ほどの速度が出ない接続方式です。
そんなVDSL方式のマンションでも、IPv6を使うことで速度が改善されるかもしれません。
本記事では、VDSL接続の概要と、VDSL方式のマンションにIPv6を導入する方法について解説していきます。
VDSL方式のマンションでIPv6を使っても速度に限界はある
VDSL方式のマンションについての説明や、IPv6を使っても思っているほど速度が出ない理由について確認しておきましょう。
VDSL方式のマンションって何?
マンションは、各部屋まで引かれている回線が主に3種類あります。
最も速度が出やすいのが部屋まで光回線が引かれているタイプ。
部屋に光コンセントが設置されていれば、光回線方式だと思って良いでしょう。
その光回線方式に対して速度が落ちるのが、LAN方式とVDSL方式です。
LAN方式はLANコネクタにケーブルを挿すだけで接続が簡単。最近のマンションやアパートに多く使われています。
一方、VDSL方式は電話回線のメタルケーブルを用いた接続方式。
元々配線されていた電話用ケーブルを利用してネット回線を引くことができるため、少し年数を経たマンションに多いタイプです。
VDSL方式でIPv6を使っても速度がそこまで出ない理由は?
ネットの速度が遅くて困っている時におすすめされやすい接続が「IPv6」。
IPv6を使うと、IPv4接続による回線混雑を回避できるため速度が落ちにくく、自宅のネット接続に導入する人が増えています。
関連記事:IPv4とIPv6の違いを分かりやすく解説、IPv6対応でも速度が速くなるとは限らないって本当?
ただ、中には「IPv6なんてどうせ光回線方式の話で、VDSL方式では使えないだろう」と思っている人もいるでしょう。
知らない人も多いですが、実はVDSL方式のマンションでもIPv6を使ってネットを使うこと自体は可能です。
ただVDSL方式の特性として速度はそこまで出ないことは理解しておかねばいけません。
光回線方式やLAN方式よりもノイズの影響を受けやすい
光ファイバーを使う光回線とは違い、電話回線を使うVDSL方式は通信途中で様々なノイズの影響を受けやすくなります。
マンションの建物までは光回線で、内部から部屋までが電話回線なので距離としては短いですが、部屋まで光回線が使える場合と比較すると、そこまでの高品質を保つことはできません。
IPv6を導入したところで、光ファイバーケーブルを通る間は速度や質が良くても、電話回線を通ることでどうしても質が落ちてしまいます。
せっかくIPv6を使っても、電話回線がある限りはそこまでの恩恵を受けられない可能性があることは知っておいたほうが良さそうです。
VDSL方式はケーブルの性能上、速度が最大100Mbpsまでしか出ない
VDSL方式のマンションでIPv6接続を使おうとしたら、「意味ないよ」と言われることがあるかもしれません。
その言葉が意味するところは、VDSL方式のケーブルは速度が最大100Mbpsまでという点にあります。
「IPv6を導入して600Mbpsや800Mbpsまで速度が出た」という情報があったとしても、それはあくまで光回線方式の話。
VDSL方式で電話回線を通る以上、IPv6を使ったとしても速度は100Mbpsが最高になります。
ただ、VDSL方式で普段5Mbps程度しか速度が出ないという人からすれば、50Mbps程度でも速度が出れば通信は万々歳ですよね。
今後特に引っ越す予定もなく、今のマンションで少しでもいいから固定回線の速度を上げたいという人にはIPv6がぴったりだと思います。
VDSL方式のIPv6化で効果を実感できない人はどうしたらいい?
IPv6を導入しても効果が薄く、速度に我慢ならない人もいるかもしれません。
その時に考えられる対応についてまとめました。
- 別の回線の引き込みができないか尋ねる
- ポケットWifiを使う
- ホームルーターを使う
- マンションを引っ越す
一つずつ確認していきます。
nuro光など別の回線の引き込みを管理会社やオーナーに尋ねる
VDSL方式はマンション内部の配線工事が必要ないため比較的経済的ですが、部屋まで光回線を通すとなると結構な負担となります。
そう簡単に管理会社がマンション全体で光回線方式への切替工事を承諾してくれるとは思えません。
NTT東西の光回線切替工事が難しいと言われたら、NURO光など別の回線引き込みについても一緒に尋ねてみましょう。
マンション内部の共用スペースや配線に余裕があれば、新規回線を引き込むことができるかもしれません。

ホームルーターやポケットWifiを使う方法もある
賃貸ではなくなかなかマンションを変えることもできない…という人におすすめなのが、ホームルーターやポケットWifiです。
新たに回線の工事をする必要がなく、管理会社やオーナーに許可を得るなどの手続きも要りません。
VDSL方式の固定回線が低速で困っている人は、固定回線以外の手段も選択肢に入れておくと良いと思います。
外出先でもスマホやパソコンを使う人はポケットWifiがおすすめ
数あるポケットWifiの中でも、マンションで使うならLTE回線ができるポケットが良いでしょう。
特に動画やゲームの利用が多い人は、LTE回線で無制限に通信できるポケットWifiがおすすめです。
同時接続数は5台程度が限界ですが、VDSL方式よりも速い速度が出やすく通信が快適です。
またポケットWifiなら外出先にも持ち出せてサクッと通信ができて、スマホの通信量の節約にもなります。



自宅メインで使う人にはWiMAXのホームルーターがおすすめ
外出先での通信はそこまで多くないという人なら、WiMAXのホームルーターがおすすめです。
箱型のようなものから円柱形のものなどホームルーターの種類も様々。その中で選ぶとすれば、WiMAXのホームルーターが適当でしょう。
ソフトバンクのLTE回線を使うソフトバンクエアーやモバレコエアーは、夕方や夜間に速度がガクッと落ちやすく、日常的に帯域制限を掛けられて画像や動画の質が落ちてしまうことがよくあります。
料金体系も分かりにくく、途中解約で高額な違約金が掛かることも珍しくありません。
一方WiMAXは速度も速く、3日で10GB以上使わなければ速度制限には掛からないのでおすすめです。



別のマンションに引っ越す
上述の方法でも満足できなかった場合の最終手段は、マンションの引っ越しです。
光回線方式を採用しているマンションやアパートに引っ越しできれば、以前よりはぐんと速い通信ができるようになるでしょう。
引っ越し先でもIPv6サービスを利用できると、回線混雑もしにくくなるはずです。
ただ、回線のためにそこまで思い切るのは何だか勿体ないような気もするので、よっぽどの事情がない限りは使いたくない手段です。


VDSL方式のマンションでIPv6を使う方法
VDSL方式のマンションでIPv6を使う方法について手順を解説していきます。
特にプロバイダ選びとルーター選びは肝心。
契約するプロバイダによってはレンタルしなければIPv6接続がうまくできないこともあります。
Step1:IPv6とIPv4を使えるプロバイダを選択する
IPv6サービスを申し込むときに重要なのが、IPv6もIPv4も使えるプロバイダを探すことです。
世界の多くのサイトはまだIPv4で、IPv6に対応しているのはGoogleやFacebookなど一部サービスのみ。
つまりIPv6だけに接続する方法を選択してしまうと、IPv4によるサイトにアクセスすることができなくなってしまいます。
IPv4とIPv6で接続できる主なプロバイダ一覧は以下の通りです。
サービス名称 | プロバイダ |
v6 エクスプレス | ぷらら |
v6プラス | GMOとくとくBB So-net DMM光 ドコモ光 @nifty など |
v6アルファ | OCN光 |
IPv6 オプション | BIGLOBE光 |
IPv6 高速ハイブリッド IPv6IPoE +IPv4 | ソフトバンク光 |
なおこの他にも対応しているプロバイダはいくつもあるため、現在契約しているプロバイダで対応しているか一度確認してみましょう。
対応していなければ、プロバイダの解約や新規契約が必要となります。
Step2:プロバイダに連絡してIPv6の申し込みをする
契約先のプロバイダがIPv6 IPoEに対応していれば、そのままIPv6サービスの申し込みをしてください。
新規契約の場合は、申込みと同時にIPv6サービスの契約もできることが多いです。
Step3:IPv6 IPoE対応ルーターを設置
VDSL方式でIPv6を接続する際は、IPv6 IPoEに対応したルーターを設置するようにしましょう。
IPv6に対応したルーターを使わない限りは、IPv6サービスにする意味がありません。
自分でIPv6 IPoEルーターを用意しなければいけないプロバイダもありますが、ソフトバンク光など一部プロバイダでは専用のルーターをレンタルしているところもあります。
レンタル費用がそこまで高くなければ、プロバイダ提供のルーターを利用するのが楽です。
特にソフトバンク光では専用ルーターである「光BBユニット」の利用がIPv6 IPoE+IPv4の鍵となるので必ず利用するようにしましょう。


【市販ルーターはNG?】ソフトバンク光のIPv6とは?申し込み手続きや光BBユニットの必要性、メリット・デメリットまとめ
Step4:IPv6 PPPoE接続になっていればIPv4 over IPv6+IPoEに切り替えを
詳しい接続は、ルーターの取扱書や各プロバイダの推奨方法を参考にしてもらって、ここでは接続方法を簡単に紹介します。
設置の仕方としては、[モジュラージャック]ー[VDSLモデム]ーLANケーブルー[無線LANルーター]の順で接続し、ルーターの管理画面で接続設定をIPv6 PPPoEからIPv6 IPoE+ IPv4に切り替えておきましょう。
こうすることでIPv6だけの接続からIPv4とIPv6両方の接続ができるようになります。
IPv6接続認証をしてくれるサイトはいくつかあるので、IPv4とIPv6に接続できるようになっているか確認してみてください。
(参考:ソフトバンク公式「IPv6接続確認」)
VDSL方式が遅いと悩んでいる人はIPv6をお試しあれ
VDSLのマンションでIPv6を使う方法や、効果を実感できなかった時の別の方法、IPv6を導入する手順について解説してきました。
光回線方式のマンションに比べると効果は薄いかもしれませんが、IPv4だけの接続よりも速度としては良い数字が出ることは多いはずです。
あまりにも速度が遅すぎる人は、IPv6の導入やルーターの買い替えなどを検討してみてください。
それでも満足のいくスピードが出ない場合は、ポケットWifiやホームルーターなど他の手段も導入してみましょう。
【この記事のまとめ】
- VDSL方式のマンションでもIPv6は使える
- VDSL回線を使う以上、速度は100Mbps以下になる
- IPv6にしても効果を実感できない可能性もある
- プロバイダがIPv6に対応しているかを確認する
- IPv6 IPoEに対応したルーターを用意orレンタルする
- より速度を出したければ光回線方式の建物へ
- ポケットWifiやホームルーターもネット接続の選択肢に入れる

